そのタイトルから深夜ドラマらしいエロエロな内容なのかと思いきや、決してそればかりではない。利用客、さらにはそこで働くセラピストの葛藤が描かれており、官能的な要素がありながらも人間らしい泥臭いヒューマンドラマになっている。ポジティブな意味で“タイトル詐欺”とも言える本作のプロデューサー・正井彩夏氏に、ドラマ化に至った経緯などを聞いた。
風俗店を舞台に「お仕事ドラマ」として制作
まず『真・女性に風俗って必要ですか?』をドラマ化した経緯として、「もともと数年前に読んでいて『面白いな』と思っていた作品です。『ドラマ化したい』と思って進めたのですが、やはり性的な内容なので1年以上も前から社内調整や脚本制作などにしっかりと時間をかけてドラマ化に至りました」と振り返る。
「本作でスポットライトが当たるのは、女性ではなく男性です。ただ、主人公が裏方として奮闘し、その結果としてセラピストが利用客を癒す姿を描くことでも、お仕事ドラマとして魅せられることに制作する中で気付きました。『“ザ・お仕事ドラマ”みたいなわかりやすいストーリーでなくても良いんだな』と」
「風俗」はNGワード? タイトルが原作と異なる理由
原作漫画ではいろいろな“エロワード”が飛び出すなど過激なシーンが頻出するが、丁寧に時間をかけた結果なのか、ドラマではその辺りはマイルドに表現されている。とはいえ、原作と異なる描き方はトラブルになりそうだが、「ヤチナツさん、新潮社さんには『このワードは地上波では厳しいんです』とご説明させていただきました」と返し、変更箇所について解説する。

悔しさも覗かせるが、「『女性用風俗店をもう少し身近に感じてもらえれば……』という思いから、『女風』ではなく『ジョフウ』とカタカナのタイトルにしました。
原作のギャグをどう表現する? 脚本の変更意図
原作漫画では勢いのあるギャグが目立つが、ドラマではギャグ要素はあるもののクスッと笑える表現に変わっている印象だ。ギャグも大きな変更点と言えるが、その背景を聞くと「『ヒューマンドラマとしても描きたい』『女性の心が動く瞬間を大事にしたい』ということは重視したのが大きいです」と回答。
そして、「ヤチナツさんも“ドラマ化するのは難しい作品”と思われていたので、原作のコメディ部分の扱い方を変えることにも納得していただけたんだと思います」と原作者の了承を得ていると口にした。

制作にはインティマシーコーディネーターも参加
女性用風俗店を舞台にしたストーリーであることはもちろん、インティマシーコーディネーターとして西山ももこ氏が携わっていることも注目ポイントだ。ここ最近、耳にする機会の増えたインティマシーコーディネーターではあるが、具体的には何をしているのか。
また、他のインティマシーコーディネーターの方はわかりませんが、西山さんは『こういうふうにすれば綺麗に映ります』みたいな演技のアドバイスをしてくださることも珍しくありません。キスや性感エステのシーンを撮ることに不安な役者さんも多いので助かっています。とはいえ、監督にも撮りたい画があるため、そこは議論しながらベストを探っていく感じです」
ベッドシーンで“本番”がないからこその苦労
続けて、“本番”(編集部注:挿入を伴う性交のこと)がないからこその苦悩を口にする。
いろいろな人のアイデアやセンス、思いで作られている本作を多くの人に見てほしい。







<取材・文&人物撮影/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki