「十人十色」の意味を考えさせられる
今回、わたしがご紹介させていただく映画は『顔を捨てた男』です。エドワードは顔に特異な特徴があり、周囲から好奇な目で見られていた。常に背中を丸め、息をひそめて生きてきた彼だったが、ある治療を受けたことによって、人生が変わり始める。
今回は少し感情的になってしまったので、観終えた直後そのままの言葉をお伝えさせていただきます。十人十色。ポジティブな意味で使われがちだけれど、同時に物凄く酷なことだな、そんな思いがよぎる映画だった。
幸福だと思える地点に辿り着くまでのスピードは違う

そんなことに大人になってから気づいたりもした。それがなんだと言われれば、それ以上でもそれ以下でもないのだけれど、なんて苦しいことなんだと思う。自分はどこまでいっても自分なんだ。
そのことを幸福だと思える地点に辿り着くまでのスピードすら、人それぞれ違う。とにかく、キツくて、辛くて、どうしてこんな映画を作ったんだと泣きながら苦しむほかなかった。
情けないけど愛おしくも感じられる

多分、背が曲がって、シワシワになった頃にふと受け入れられる日が来るんだろうな。
そう思うと、なんかそれすらも自分らしくって、情けないけど愛おしくも感じられる気がするな。
わけのわからない愛おしさを見過ごしちゃいけない

わたしのゆっくりとした成長スピードが、この映画のおかげで少しだけ早くなった気がする。そして、人生はそんなことの連続なのかもしれない。そんなことに、ふと気付かされる映画でした。
あまりにも雑多な感想文になっちゃいました。それぐらいの威力がある映画だったということで、お許しください……。ぜひ、映画館で!
●『顔を捨てた男』
配給/ハピネットファントム・スタジオ ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中 © 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。