「いつか〇〇しようね」。こんな口約束の「いつか」が、美しい未来だったのは若い時だけ。
「いつか」と言っているうちに自分が消滅してしまう、笑い話にもならないのが、オーバーアラフィフの悲しくもリアルな事情なのです。

可愛い女の子から、頼もしい女の古(こ)へ

 
そんなリアルを描いて、女性たちから支持されているエッセイ漫画が、『ビバ女の古(こ)』(主婦の友社)です。

おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代か...の画像はこちら >>
作者のカータンさんは、月間800万アクセスを誇る人気主婦ブロガーです。

介護体験を笑いで包んだ前著、『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』は話題になりました。

そんなカータンさんも58歳。かつてキラキラと輝いていた女の子は、いぶし銀の女の古(こ)に成り代わりました。だからこそ、「“いつかいつか詐欺”は、やめ!」と、日々いろんなことにトライした顛末が漫画に描かれています。いつか、ではなく、今行く!今やる!

例えば、ミドルになると写真に映るのが嫌になったりしませんか? 直立ピースも、なんかおばちゃんっぽいし…。そこでカータンさんは、素敵に見えるポーズや表情を教わって、積極的に映ることにしたそう。こんな些細なことの積み重ねで、毎日が楽しくなっていくんですね。

おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
ビバ女の古
 女の古がパワフルでアクティブなのは、自分の終焉を意識しはじめるから。死を思うのは生を思うこと。人生を120%謳歌するコツを漫画で教えてくれます。


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「写真を撮る!」編


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「写真を撮る!」編


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「写真を撮る!」編


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「カギを忘れて韓国ドラマになった話」編


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「カギを忘れて韓国ドラマになった話」編


おばちゃんっぽい“直立ピース写真”も、ポーズで激変!50代から毎日は楽しく変えられる<漫画>
「カギを忘れて韓国ドラマになった話」編


体力も若さも衰えていくけれど

人生100年時代が定着していますが、健康寿命は何歳なのかご存じですか。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと」。日本人女性の平均健康寿命は75歳。75歳を過ぎたら、誰かのお世話になる可能性が大なのです。

年齢から逆算すれば、気兼ねなく思いきり人生を堪能できる年数がわかるはず。カータンさんはあと18年。体力も落ち、外出もめんどうになるけれど、(健康)人生18年となれば、何事にもチャレンジ一択。まずは「ワコール3Dスマート&トライ」へGO。

誰に見せるでもないけれど、加齢でダウンしたバストやヒップをアップさせれば、心のハリも取り戻せるというもの。この「誰のため」でもなく「自分のため」が重要なのです。結婚、出産、子育て、仕事…、何かと消耗してきた女の子時代はもうおしまい。

女の古は自分アゲ人生でOK。ボディスキャナーでボディ測定中に、息を止めてお腹を引っ込めても、逆に自然体が過ぎて下半身のナス化に愕然としても、どっちもご愛敬。
新しい下着が、すべてを許容してくれるのです。

新鮮な愛が飽和した先には

私ってまだイケる、がんばってる私っていいじゃん。今日を全力で過ごして、毎日を笑顔で更新していく。結婚ウン十年のときめきレス夫婦だって、記憶力や認知度の低下が味方してくれます。そう、人の名前が出てこない、昔観た映画やドラマの内容が説明できない、といった「あれ」とか「それ」で会話してしまうあれです。

「あの人、名前なんだっけ? あのドラマに出ていた女優」「あのドラマって、あの俳優と共演したやつか?」。もはや何が言いたいのかわからないのに、延々と無意味な会話が繰り返されます。これもまた、夫婦円満の秘訣ではないでしょうか。女の古(こ)と男の古(こ)だからこそ、通じてしまう空気感と熟成された愛です。

悲しさや辛さを乗り越えたからこそ

とぼけた笑いと明るさに包まれた本書。しかしカータンさんは、本書を執筆中に父と姉を立て続けに亡くす悲しみにも見舞われました。

「ささやかな日常の中にある出来事を、少しでも前向きに、ユーモアに変えることができたなら」。カータンさんがあとがきに記したこの言葉には、涙を乗り越えたからこその希望がにじみ出ています。


酸いも甘いも、辛苦も嘗め尽くした女の古(こ)だからこそ、自ら幸福を探して笑っていてほしい。そんな女の古(こ)に対する最大級のエールが、本書には詰まっているのです。

<文/森美樹>

【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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