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義実家への帰省は義両親が気を遣ってくれてありがたいのですが、ときにその優しさがとんでもない事態を引き起こすことがあります。
「お義母さんが子どもにいろいろと食べさせてくれるのはよいのですが……」そう、重い口を開くのは都内に住む主婦の伊藤果歩さん(仮名・36歳)。
果歩さんがお盆に義実家に帰ったのはコロナ禍になる4年前。そのときも、今年のような猛暑だったといいます。
子どもを義両親に預けてお出かけ
「夫の両親はすごくいい人で何でも孫にやってくれるんです。孫の行きたいところはどこでも連れて行ってくれるし、ほしいものも何でも買ってくれる。子どもたちもじいじばあばのことが大好きなので、つい任せっきりにしてしまった私も悪いんですよね……」4年前、果歩さんの子どもは4歳と6歳。夜も2人で寝れるようになっていたので、義両親に預けて夫と少しだけ出かけることになったといいます。
「私も知っている夫の同級生がバーをオープンさせたというので、お祝いを兼ねて少しだけ飲みに行こうとなったんです。義母が『子どもたちは任せて行ってきて!』と言うので、お言葉に甘えて出かけることにしたんです。子どもたちに夕飯を食べさせて私たちが出た後、寝かしつけを義母に頼みました」
真夜中に腹痛を訴えた娘たち

「長女が『ママ、お腹痛い……』と言い出したんです。こんな時間に?と思い、次女の様子も念のため確認すると、次女も汗びっしょりで熱が少しありました。
その後、トイレに行った長女と次女は下痢をしてしまい、明らかに普通ではありませんでした。すぐに病院に行こうとしたのですが、お盆なのであいていなかったんです。翌朝まで待って救急外来で病院に駆け込みました」
そして診断の結果、子どもたちは軽い食あたりと言われたのです。
義実家にいる間、みんな同じ食事をとっていたので子どもだけ体調不良になるのはおかしいと考えた果歩さん。しかし、その様子を気まずそうに見ていた義母がとんでもないことを言ってきたのです。
原因は賞味期限切れのケーキ

あれほどご飯の後、子ども達に『何も食べないで寝るんだよ』と伝えて、お義母さんもすぐ横で聞いていたのに。しかも、消費期限を確認しないで子どもに食べさせるなんてありえないと思いましたね」
子どもたちの容態はすぐに回復し、義母は謝罪して病院代をすべて負担しました。しかし、果歩さんにはどうしても許せなかったことがあるといいます。
「夫がお義母さんをかばったんです。『子ども達も元気になったわけだし』『お母さんも悪気があったわけじゃないし』と、子どもよりお義母さんの心配をしているんですよね。
夫にも頼れず、今後の帰省が心配
義実家にいる間、子どもの面倒を親に任せっぱなしで夫はお酒を飲んだり、友達と遊びに行っていたことに果歩さんは怒りを爆発させます。「今年も義実家に帰省する話が出ているんですが、その一件以来、帰る気が起きませんね。お義母さんは『あのときはうっかりしていた』なんて言いますが、最近は物忘れが余計にひどくなっているようなので、子どもたちにまた賞味期限が切れたものを勝手にあげたりしないか心配です。面倒を見てくれるのはありがたいのですが、余計に気を張らないといけませんね……」
実は高齢の祖父母が悪くなっている食べ物や、アレルギーを起こす危険のある食材を孫にうっかりあげてしまうことはよくあるケースだそう。せっかくの帰省、余計な心配はせずにゆっくりと過ごしたいですよね。
<取材・文/結城 イラスト/ただりえこ>
【結城】
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer