太陽光発電は導入したほうがお得!
そもそも太陽光発電を導入するかどうかは、初期費用の回収期間と長期的な経済的メリットから、投資対効果を考えて検討すべきだそうです。「売電価格は下がっていますが、それでも多少は収入を増やせますし、電力会社から電気を買わなくなる分、支出を減らすことができます。建物の屋根が小さくなることが多い東京だと難しいかもしれませんが、そのほかの地域なら10kWの太陽光発電を設置できれば少なく見積もっても年間20万円程度は発電できます。
仮に太陽光パネルの設置費用が200万円だとしても、10年で元が取れますし、太陽光パネルは30~40年と持ちます。光熱費が今後、上がり続ける可能性が高いことを考えると、メンテナンス費用などはかかりますが、それでも太陽光発電を導入したほうが基本的にお得です」
特に太陽光発電導入の経済効果が高い家もあるとも。
「日中の在宅が多い、夫婦が共働きではない、二世帯住宅といった場合は、日中に購入する電気を減らせる分、得する可能性が高いといえます。あと、高性能な蓄電池がある家も日中発電した電気を夜間に使えてお得ですが、初期費用の回収は遅くなるので注意してください」
太陽光発電=電気代がゼロ円になるのは勘違い?
ですがインターネットなどを見ると、「太陽光発電を導入したのに電気代が減ってない」「むしろ電気代が増えている」という声も……。「確かにそういった声を見かけることはありますが、おそらく太陽光発電を誤解していると思います。まず太陽光発電を導入して電気代が減るかどうかは、設置した容量によりますし、家族の人数や住宅の省エネルギー性能などによっても変わってきます。
太陽光発電をつけたとしても、エネルギー消費が大きい家は電気代をゼロ円にはできませんが、省エネな家で適切な量の太陽光発電を選択すれば、電気代をゼロ円にすることは可能です」
太陽光発電を設置しても電気代が増える要因

「1つ目は蓄電池なしで夜間の電気料金が高騰しているケース。日中は太陽光で発電した電気で賄えても、夜間に高額な電気を買っていると相殺できない分、電気代が増えるかもしれません。
2つ目は契約プランとのミスマッチ。時間帯別料金や容量契約などありますが、使い方がかみあっていないと電気代が上がることもあります。
そして3つ目は、設置容量と消費電力の不一致です。発電量が足りないのに使う量が多すぎると、当然電気代はゼロ円になりませんし、不足分を購入するので電気代が増えてしまいます。太陽光発電を導入する際は、消費電力以上は設置したほうがいいです」
太陽光発電の導入で失敗しないために
いざ太陽光発電を導入しようとしても、設置する時に注意すべきポイントが3つあると警鐘を鳴らします。「太陽光発電を設置するなら、立地条件と電気の使用料をきちんと確認したうえで、投入金額・投資金額に対するリターンをきちんと検討してください。まず立地条件ですが、太陽光発電をどのくらい設置できるか、日が当たるように設置できるかに加えて、数年後に大きな建物の建築予定があるかどうかも確認すべき。
また、秋田県などの日照時間が少ない地域だと、発電量が少なくて回収に時間がかかってしまいます。回収期間は15年を目安に、設置するかどうかを検討するといいでしょう」
では、電気使用料で注意すべき点は?
「現状の電気使用料をきちんと認識することが重要ですが、電気代の金額ではなく、電力量のkWhでチェックしてください。そうすれば、電気の単価が変わってもちゃんとシミュレーションすることができます。
どれくらい発電できるのか、使用量はどのくらいかを認識できれば、太陽光発電を導入しても何年で元が取れるのか正しく計算できます。投入金額・投資金額に対するリターンをきちんと検討できれば、後悔のない太陽光発電選びができると思います」
<取材・文/黒田知道>