(台北中央社)著名な歴史研究家で、作家としても活躍した荘永明さんが7日、死去した。78歳だった。
民間史料を最も広範囲かつ豊富に収集した研究者の一人で、台湾の文化、歴史の継承に大きく貢献した。

1942年4月3日、台北市で最も早く開けた市街地の一つ、大稲埕に生まれた。実家は1920年代に建てられた「荘協発雑貨店」。昔ながらの商店が並ぶ環境の中で、豊かな庶民文化に触れながら育った。成人後は民間企業に勤務し、70年から執筆活動を開始。80年代には、大手日刊紙・中国時報で、「台湾初」の流行歌や漫画家、女子校などを紹介するコラムを1年間連載し、好評を博した。
リタイア後は文献や史料の収集により力を入れた。これまでに出版した書籍は50冊以上に上り、分野も台湾の歌謡曲やことわざ、医療史など多岐にわたる。

執筆活動の傍ら、歴史を直接人々に伝える活動にも積極的に取り組んだ。中でも、地元の寺廟が主催する、大稲埕の文化財を訪ね歩く半日ツアー「大稲埕逍遥遊」のボランティアガイドを長年務めたことで知られ、約10年間で1万人以上を案内した。また、2005年に雑貨店として台北市初の古跡に登録された実家の建物を文化施設として再活用。自身の収蔵物などを展示したり、文化講座を企画したりして熱心に活動を続けていた。


家族によれば、葬儀は親近者のみで行い、後日、関係者に向けたお別れの会を開催する予定。

(編集:塚越西穂)