(基隆中央社)自民党の新総裁に選出され、首相に就任する見通しとなった岸田文雄氏の曽祖父・岸田幾太郎氏は日本統治時代、家族と台湾に渡り、北部・基隆で「岸田呉服店」や「岸田喫茶部」を営んだ。その建物は現存しており、飲食店や書店として地元民に親しまれている。


基隆市文化局の陳静萍局長によれば、幾太郎氏は1895(明治28)年、広島から基隆に移住。同氏と家族が店を構えた場所は日本統治時代に「義重町」と名付けられ、当時台湾内でも有数の繁華街だったという。

岸田呉服店と岸田喫茶部は隣接しており、建物は現在、基隆市政府に程近い市中心部にある。岸田呉服店だった建物は交差点に面した角地で、1階はパン屋、2階はレストランとして営業している。

旧岸田喫茶部は戦後、書店となった。日本による統治が終わったばかりの頃、台湾には日本語の本しかなかったことから、中国大陸から渡ってきた男性が中国語の本を扱う書店を創業。
台湾で最初の繁体字書店とされ、地元で歴史ある書店の1つ。1960年代にこの建物に入居した。現在は休業中。文化局が再生に向けた計画を文化部(文化省)に提出している。

林右昌(りんゆうしょう)市長は、このような縁があることは非常に光栄だとし、日本との交流深化を願う考えを示した。市中心部では歴史的な景観の整備を進めており、将来的にはより歴史が感じられる街並みになると話した。


(王朝鈺/編集:楊千慧)