(台北中央社)中国の王毅外相は15日、メコン川流域諸国との外相会談後の会見で、「カイロ宣言やポツダム宣言などは日本の戦争責任を明確にし、日本に対して中国から奪った台湾を含む領土の返還を求めた」と発言した。これに対し、林佳竜(りんかりゅう)外交部長(外相)は16日、外交部(外務省)の報道資料を通じ、1951年に調印されたサンフランシスコ平和条約には、中華人民共和国に台湾を渡す内容は盛り込まれておらず、中華人民共和国は台湾を統治したことはないと反発した。


林外相は中国側の発言について、悪意を持って史実を曲解し、国際社会を惑わそうとしていると不快感を表明。外交部は明確に反論しなければならないと強調した。国際的な効力を持つサンフランシスコ平和条約はカイロ宣言やポツダム宣言などに取って代わられているとした。

また台湾は80年代半ばから政治的自由化や民主化が進み、96年には初の総統直接選挙が実施されたなどと説明。中華民国台湾は台湾を効果的に統治し、対外的にも台湾を代表する唯一の合法的な政府だとした上で、中華人民共和国とは対等な存在であり、互いに隷属していない状態を確立していると述べた。

さらに2000年、08年、16年には政権交代が行われ、台湾の民主主義体制と主体性をより強固なものにし続けているとし、台湾人民が自由と民主主義を追い求める揺るぎない信念と意思の表れだと語った。

その上で、中華民国台湾が中華人民共和国と互いに隷属していないことは客観的事実であり、中華人民共和国は国際社会で台湾を代表する権利はないと述べた。

外交部は、台湾人民を代表する民選政権と互いに尊重し合う対等な対話を通じてこそ、両岸(台湾と中国)関係は改善できることを認識すべきだと中国側に呼びかけた。台湾は民主主義のパートナーと団結し、共に「民主主義の傘」を差し、権威主義の挑戦に立ち向かい、共有する価値観やルールに基づく国際秩序を守ることを望むとした。

(呉書緯/編集:齊藤啓介)
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