(福岡中央社)台湾の金融機関で最大手の台湾銀行は29日、東京支店福岡出張所を福岡市内に開設した。24年に設置した駐在員事務所を格上げした。
市内で開かれた開業式典に出席した同行の凌忠嫄董事長(会長)は「福岡出張所の設置は台湾銀行が日本に深く根を下ろし、長期的に発展していく決意を示すものだ」と述べた。

凌氏は、同行が日本統治時代の1899年に株式会社台湾銀行として設立され、1946年に国営化された歴史を紹介。政策的役割を担う他、商業銀行の機能も強化し、国のインフラ建設や経済発展を支援してきたと語った。

九州が日本の半導体産業で重要な地位を占めていることにも触れ、「九州の今後の経済の見通しは非常に輝かしいものだ」と期待を寄せた。その上で、福岡出張所の設置によって金融と産業の架け橋を築き、福岡や熊本などの地域の台湾企業に多様なサービスを提供していきたいと意欲を示した。

式典には中村英一福岡副市長や自民党の木原誠二衆院議員、台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処の陳銘俊処長(総領事に相当)らが来賓として出席した。また、服部誠太郎福岡県知事がビデオメッセージで祝意を表明した他、木村敬熊本県知事は式典前に会場を訪れ、祝意を伝えた。

曽祖父が同行の初代副頭取を務めていたという木原氏はあいさつで、今後、国際社会が分裂の時代に入っていく中で、安全で安心なサプライチェーン(供給網)を構築するためには台湾銀行が日台関係を結び付ける役割を果たすことが非常に重要だと述べた。

半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を機に、台湾の金融機関が九州に拠点を置く動きが広がっている。23年には台湾資本の銀行として初めて玉山銀行が福岡支店を開業。台新銀行も昨年、既存の東京支店の下に福岡出張所を設置した。

(楊明珠/編集:名切千絵)
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