タイ商工会議所大学の調査によると、2025年の家計債務は前年比22%増加し、1世帯当たり平均74万バーツに達した。増加率は4年間で最高。


プラチャーチャート・トゥラキットの報道によると、調査は9月15日から22日に実施。1716人が回答した。同大学の経済ビジネス予測センターのタナワット会長は、増加の主な要因を経済不況にあると説明。収入が支出を下回り、生活費は高騰していると述べた。

さらに、前年に比べ正規の債務割合が減少する一方で、非正規の債務が急増していると指摘。同氏は、「経済が弱体化して銀行は融資に消極的になり、多くの人が高金利で貸し付ける違法業者に頼らざるを得ない状況だ」と話し、今後、不良債権の監視を強める必要があると語った。

また、タイは家計債務問題を10年以上抱えており、2013年には国内総生産(GDP)の80%を超過。2024年の1世帯当たり家計債務は平均約60万バーツだが、今年は74万バーツに上昇しているため、政府は「共同支払い制度」政策を皮切りに、GDP刺激策を迅速に打ち出す必要があると提言した。

同センターのウマガモン副会長、2025年の家計債務状況に関する調査結果を発表。タイ世帯の30.9%は、平均月収が5万1バーツ~1万バーツで、46.3%は緊急時に備えて貯蓄をしていないことが分かった。貯蓄をしていた世帯も貯蓄額が減少した。

家計状況を昨年と比較すると、「変わらない」44.5%、「悪化した」28.4%、「かなり悪化」20.7%、「改善した」5.2%、「かなり改善した」1.2%。

収入と支出のバランスについては、「貯蓄に余裕がある」47.3%、「支出に余裕がない」22.2%。

収入が支出を下回るグループは、39.9%が各借入を利用。最多はクレジットカードからの現金引き出しで、次いで商業銀行からの借入、金融会社からの借入が続いた。生活費の高騰が生活環境を悪化させる主要因だと考える人が多かった。

債務状況について、「借金がある」と回答したのは95.1%で、「借金がない」はわずか4.9%。平均債務額は1世帯当たり74万596.94バーツで、月々の返済額は2万2022.08バーツだった。このうち正規債務は65.0%で、月々の返済額は2万330。非正規債務は35%で、月々の返済額は8023バーツ。

債務の種類は、クレジットカードが46.8%。次いで住宅ローンが40%、自動車ローンが37.1%。職業別では、公務員は自動車ローン債務が最も多く、従業員はクレジットカード債務、事業主は住宅ローン債務、会社員はクレジットカード債務、農家は農業ローン債務が最多だった。クレジットカード債務の多くは生活用品の購入で、次いで電子機器、事業経費、耐久財の購入が続いた。

返済能力については、「期日通りに返済できる」が59.3%。「6カ月以内」が4.3%、「3カ月以内」が15.6%、「返済能力がない」が0.8%。過去1年間で債務不履行に陥ったのは74.4%で、昨年の71.5%から増加した。一度も債務不履行を起こしていないのは25.6%。債務不履行の理由は、収入の減少が最多で、次いで景気悪化、返済額の増加、失業などがあった。

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