(ビルニュス中央社)国民党政権が市民の思想や言論を弾圧した「白色テロ」の被害者、蔡焜霖さんの生涯を描いた台湾漫画「台湾の少年」(来自清水的孩子)の1、2巻が昨年、リトアニアで出版された。原作者の游珮芸さんと作画担当の周見信さんは先月末、同国で開かれたブックフェアに出席し、座談会とサイン会を行った。
リトアニアの出版社は、台湾とリトアニアの歴史には共通点があるため、同書は現地の読者の共感を呼びやすいと話した。

物語の主人公となる蔡さんは、日本統治時代の1930年、中部・台中市清水で生まれた。日本時代から白色テロ期、戒厳令解除後の民主化の時代までを生きた蔡さんの実話を基にした。漫画は全4冊で構成され、台湾では2020年に出版された。

駐リトアニア代表処(大使館に相当)によれば、座談会は国民党政権が市民を弾圧した1947年の2・28事件から79年を迎えた2月28日に行われた。游さんは同作の制作について、蔡さんの口述を聞き、物語の中の感情の力を感じたことで、この歴史を記録しなければならないと決意したと明かした。周さんは、各巻の内容に合わせて作画技法や表紙の配色を変えたと説明し、細部へのこだわりをリトアニアの読者に紹介した。

同作をリトアニアで出版したアウクソ・ジュービス社のディレクター、シギタ・プーキエネさんは、同社は小さな出版社ではあるものの、各種の歴史書籍をリトアニアの読者に紹介することに尽力しているとし、台湾とリトアニアの歴史は似ているため、同書はリトアニアの読者の共感を呼びやすいと言及。また、主人公は人々に、初心を忘れず、心の中の自由への思いを失わないことの大切さを伝えていると語った。

同作は日本語やリトアニア語などで翻訳出版されている。代表処によると、すでに8カ国語で版権契約が結ばれているという。

(游尭茹/編集:名切千絵)
編集部おすすめ