2025年5月29日、Xに投稿された写真が大きな注目を集めた。
夕焼けに赤く染まった水田があまりにも印象的な1枚。
その風景を切り取る窓のそばには、1匹の猫が佇んでいる。鮮やかな光景をじっと見ているかような、そんな雰囲気だ。
「今日で移住して3年が経ちました」
写真にそんな呟きを添えたのは、富山県朝日町で築45年の民家を整えた宿「民泊たなごころ」を営む、「なつめ」(@sauntm)さん。
彼女のポストには、17万件を超える「いいね」(6月13日時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「窓から見える景色が絵画」
「畳、障子、猫、夕焼け、田んぼの水面、全部にグッときた......」
「広重の浮世絵みたい」
「なんですか、この名画は」
「エモいのぉ......」
「素敵すぎる......泊まってみたい」
Jタウンネット記者はなつめさんに、富山での暮らしについて話を聞いた。
「猫のいる田舎のおばあちゃん家」
なつめさんが朝日町に移住したのは、2022年5月末。実はJタウンネットでは移住直後の6月に、なつめさんに取材したことがある。
共に暮らす猫・ねねさんが、素敵な和室の襖絵の中から出てきたような写真がX上で話題になっていたのだ。
当時、「雄大な自然に囲まれて毎日心地よく暮らしております」と語っていたなつめさん。3年経った今、その場所にどんな魅力を感じているのか。改めて取材した。

朝日町は富山県東部。
なつめさんは移住先として日本海沿いで、かつ東京にも帰りやすい場所を探し、富山を選んだという。
そこで今は四季を感じながら、のんびりと穏やかな生活を送っているそうだ。

なつめさんが感じているこの土地の魅力は、「美しい海や山が身近にあること」。そして、「人が優しいこと」。
それをより多くの人に知ってもらうため、2024年春に民泊「たなごころ」をオープン。1人と猫で住むには大きすぎる家を宿として活用することにした。

季節によって違った風景が楽しめる「水田ビュー」の部屋をはじめ、周囲の景観も本当に素敵な眺めだ。
畳の部屋、障子、襖。室内も、懐かしい雰囲気で癒される。
なつめさんは、「たなごころ」について自身でこう評している。
「うちの宿は『猫のいる旅館』だと思って来てしまうとちょっとミスマッチが起こるかも。『猫のいる田舎のおばあちゃん家』を期待して来られる方には、どハマりする宿です。すでに3回以上リピートしてくださっている方もいらっしゃるので『田舎のおばあちゃん家』としての地位を確立しつつある」(なつめさんの投稿より)
「猫のいる田舎のおばあちゃん家」。まさに、その表現がしっくりくる環境だ。
民泊を始めてから感じていることを尋ねると、なつめさんはこう答える。
「お客様から『癒された』『また絶対に来たい』といったお言葉をいただくたびに、宿を始めて本当によかったと感じています」(なつめさん)
街なかのホテルでは味わえない、温かな寛ぎを感じられるのだろう。看板猫・ねねちゃんのさりげないおもてなしも、大いに貢献しているにちがいない。
今後の展望については、「現在は朝食のみの提供ですが、将来的には夕食もご提供できるように準備を進めていきたいと考えています」となつめさん。

「猫のいる田舎のおばあちゃん家」というコンセプトをしっかり守りながら、あまり無理をなさらず、のんびりと、健康に過ごしながら、民宿「たなごころ」を続けていただきたい。
Jタウンネット記者は切に祈るばかりだ。