
カラパイアでも何度か紹介している、イギリス首相官邸で「ネズミ捕獲長」の任務を担っているオス猫のラリーを覚えているだろうか。
推定年齢17歳とされるラリーは、今年の2月にネズミ捕獲長就任13年目を迎えた。
いつ何があってもおかしくない年齢ということもあって、ラリーの周囲では静かに「その時」への準備が始まっているという。
5代の英首相交代劇を見守り続けてきた猫のラリー
ラリーがダウニング街10番地にある英首相官邸にネズミ捕獲長として召喚されたのは、2011年2月のこと。当時のデヴィッド・キャメロン政権でのことだった。
もともとはキャメロン元首相の子供たちのペットになるはずだったが、その荒ぶる…もとい、天性のハンターとしての性格が当局に認められ、公式にネズミ捕獲の任に当たることになったのだ。
まあこの辺は、ラリーの抜け毛が服に付着するせいで、キャメロン一家の覚えがめでたくなかったとの説もある。
公務員であるラリーは、たとえ首相が替わってもその任務を解かれることがなかった。そして5代にわたる政権交代を経験し、現在もスターマー政権下でネズミ捕獲長を務めている。
エリザベス女王の時と同様の「Xデー」に向けた計画が進行中
だが就任以来13年の月日が流れ、就任当時は4歳の働き盛りだった彼も、今年既に17歳。
人間の年齢で言うと80代後半に差しかかり、いつ何があってもおかしくない歳になった。
彼を取り巻く人々は、「その日」が来ることを覚悟し、「その日」への準備を静かに始めることにしたのだ。
2022年、エリザベス女王崩御の際は、Operation London Bridge(ロンドン橋計画)という、崩御のともなう行事や儀礼をあらかじめ定めた計画が用意されていた。
ラリーのために、これをもじったOperation Larry Bridgesが作られており、「その日」が来たときに備えて、プレスリリースやSNSへの発表の手順の詳細、遺影となるであろう写真などが既に準備されているそうだ。
今のところ、ラリーの後任が選出されるかどうかについては情報がなく、「その日」以降、首相官邸のネズミ捕獲長の座は空席になる見込みが強いようだ。
一足早く引退した、ラリーの永遠のライバル・元外務省所属のネズミ捕獲長パーマストンは、現在は田舎で悠々自適な隠居生活を送っているとみられている。
引退して4年経った現在では、年に1回程度ホリデーシーズンにSNSに現れてご挨拶をしているようだ。
ラリーの「非公式な」Xアカウントは、英国の猫らしい、風刺の利いた政治に関する意見を呟き続けており、フォロワーには大物の政治家やジャーナリストが名を連ねている。
面白いことに、ラリーがフォローしているのはほとんどがネズミのアカウント。個性とストーリーがしっかり確立されたキャラクターとして、彼の存在は多くの人に愛され続けているのだろう。
ラリーは現在のところは健康状態も良好で、高齢にもかかわらず、今日も任務を遂行し続けているという。あと数年、元気に長生きしてくれることを祈りたい。