
欧州宇宙機関(ESA) が主導する木星氷衛星の探査計画のために打ち上げられた探査機「JUICE」が、地球が居住可能な惑星であることを確認した。
2024年8月20日、JUICEは地球をフライバイしつつその大気を分析し、生命によって重要な材料がきちんと揃っていることを再確認してくれた。
既に我々が住んでるわけだし地球が居住可能なのはあたりまえだろ、と思うかもしれないが、これはJUICEが「木星衛星に生命が存在するかどうか」を正確に検知できる、という事実につながる重要なことなのだ。
探査機JUICE、地球が居住可能惑星であることを確認
ESAの「JUICE(JUpiterICy moonsExplorer)」は、木星の氷の衛星ガニメデ、カリスト、エウロパを探査するため、ナマケモノに見送られながら2023年4月に打ち上げられた探査機だ。
2024年8月20日、JUICEは木星へ向かう弾みをつけるために、地球でフライバイを実施。この時、その大気成分の分析を試みた。
その結果、水分のほか、炭素・水素・窒素・酸素・リン・硫黄といった生命の居住可能性を示す化学成分が検出されたのだ。
この6つの元素を「CHNOPS」といい、地球上のほぼすべての生命がこれをベースに作られている。
これが検出されたということは、そこに生命にとって大切な材料が揃っているということになる。
ただし生命が誕生するには、他にもいろいろな要素があるので、必ずしもCHNOPS = 生命が存在するというわけではないことは理解しておこう。
もちろん、ESAの科学者たちだって地球が居住可能であることは百も承知だ。JUICE計画に参加するオリビエ・ヴィタッセ氏は、ESAのプレスリリースで次のように述べている。
もちろん、特に驚いてはいませんよ、逆に地球が居住不可能であることが判明したら、それこそ非常にまずいことでした!(オリビエ・ヴィタッセ氏)
2024年9月24日現在、JUICEは地球から9,664,549 km離れた場所にいる。JUICEの現在地はESAのウェブサイト「Where is Juice?」から確認できる
木星の衛星に生命と関連のある6つの元素はあるのか?
じつのところ今回の分析は、JUICEに搭載されている可視・近赤外撮像分光計(MAJIS)とサブミリ波観測器(SWI)が本当に機能するのか試すためのものだった。そして試験はうまくいった。
つまり地球は生命の存在が可能だということがきちんと計測できたということだ。
これはMAJISとSWIが、木星や木星衛星でもきちんと機能し、過去や現在において生命が存在できる条件が整っているのかどうかを正確に調査できることを意味している。
JUICEは木星の衛星に到着したら、今回と同じ分析を行い、そこに生命を宿る可能性があるかどうかを探ることになる。
なお地球でのフライバイでは、大気に含まれる酸素・オゾン・二酸化炭素などについても分析された。
JUICE計画に携わる科学者たちは、そうした地球のデータを、とりわけ木星系にある酸素濃度と比較したいと考えている。
そうすることで、木星系にある酸素が、現在地球で営まれている生物活動を支えられる程度のものなのか分かるようになる。
なので地球が居住可能であることはビッグニュースだが、本当のビッグニュースは木星の衛星もそうだとわかった時にもたらされるだろう。