
英国臨床心理学ジャーナル[https://bpspsychub.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjc.12485]に掲載された新しい研究によると、IQが高い子供は、「注意欠如・多動症(ADHD)」の診断が遅れがちであるという。
ADHDの多くは、子供の頃に診断されるが、IQ(知能指数)が高い子供たちにおいては、成人後に初めて診断が下されるケースが多いことが明らかになった。
今回の研究はカナダ、オンタリオ州の発達障害ネットワークのデータをもとに行われたものだが、他の国でも同様の結果となるという。
なぜ特定の人はADHDの診断が遅れるのか?
「注意欠如・多動症(ADHD)」は、気が散りやすく集中することが苦手、落ちつきがない、うっかりミスが多く忘れ物をしやすい、衝動的に行動してしまうなどの特徴を持つ発達障害の1つだ。そのせいで日常生活にも問題を抱えるようになる。
ADHDの症状は大抵の場合、子供の頃から気づかれ、その多くは12歳未満で診断される。ところが、ADHDであることを周囲から気づかれず、大人になってからADHDと診断される人もいる。
なぜ特定の人の診断が遅れることがあるのか?
診断の遅れは性別、IQの高さと関連
今回カナダ、ウェスタン・オンタリオ大学の研究チームは、オンタリオ州の発達障害ネットワークを使い、1380人の子供のデータを分析し、ADHDの診断を遅れさせる要因がどのようなものなのか探っている。
その結果明らかになったのは、女の子は男の子よりも診断が遅れがちであるということだ。
ADHDの女の子は、症状が男の子とは症状が少々違っており、そのせいで見過ごされがちなのだという。
また、過度に活発だったり、衝動的な行動を示す子どもは早期に診断されやすいが、注意欠如だけの症状の場合は見逃されやすいこともわかった。
より目立つ行動の方が親や教師、医療専門家の注意を引きやすいからだ。
さらにIQが高い子供ほど、診断が遅れがちであることもわかった。
ADHDの症状でわかりやすいのは、落ち着きのなさや、衝動的な振る舞いだ。こうした行動は親や教師の目につきやすく、その分診断されるのも早くなる。
だがIQが高い子は、そうした多動性や衝動性を上手に隠してしまうようなのだ。
ただしこの研究には制約されている部分も
ただし研究者たちは、今回の調査にいくつかの制約があることも指摘している。
これらのデータには、ADHDであるにもかかわらず、ADHDの診断を受けていない子供たちが含まれていないため、未診断の子どもと診断された子どもとの比較ができていない点だ。
今後は、より多くのデータと未診断の子どもも含めた研究が必要であるという。また、外に現れない内面的な症状や人種のデータをさらに充実させることで、ADHDの診断における公平性を向上させることができるかもしれないという。
ネットの反応、思わず納得との声が続々
こうした結果に膝を打つ思いの人もいたようだ。海外メディアによれば、SNSにはこの研究を知って思わず共感するこんな声が投稿されていたそうだ。
・めっちゃ腑に落ちた。自分も30代になってADHDと診断された。周りの人よりうまく立ち回れたので、自分の欠点を隠せたんだ。同じことをやるにも、手際よくやらなきゃいけなかった。おかげで学校の勉強は簡単、知識欲で飽きることがなかったからね
・まさに自分がそう。学校では勉強が楽しくて大好きだった。
やることがはっきりしていて、テストでいい成績を取るのも楽しかった。大学や大学院はだんだん難しくなって、最悪だった。30代になって、なんで何もかもこんなに大変なんだ? って思っていたら、医者にADHADかもって言われて、薬が処方されて…あ、そうだったのかって思った・自分の人生の要約そのものだ。子供の頃にIQテストを受けて平均以上だったから、親は安心していた。子供の頃は空想が大好きで、勉強が楽しくて(今でもそう)、好きな科目なら成績が良かった。30代の今、注意欠如型のADHDと診断された
まあ私、パルモの場合は多動も目立っていたので、授業中じっとしていられず、10歳で先生に指摘されたわけだが、正式に病院で診断されたのはやはり大人になってからだ。
でも不思議なことに、子供の頃は生きづらさを感じたことはなくて、「やる気がでたらなんだってできる。やる気がでないだけ」くらいに思ってたけどな。
社会にもまれて初めて「あれ?なんか違うぞ?」と感じ、あの時先生に言われてことはこれだったのか、と納得して病院にいったらそうだったという話で、同じような経験ある人いるかな?
この研究は『British Journal of Clinical Psychology[https://bpspsychub.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjc.12485]』(2024年6月23日付)に掲載された。
References: Children with high IQ scores are more likely to be diagnosed with ADHD later in life according to new study[https://www.unilad.com/news/health/children-high-iq-scores-adhd-diagnosis-later-life-099481-20241105] / Intelligence, socioeconomic status, and gender impact ADHD diagnosis timing[https://www.psypost.org/intelligence-socioeconomic-status-and-gender-impact-adhd-diagnosis-timing/]