少し前に、「オーストラリアのビーチで謎の黒い球体が発見された！」ニュースをお届けしたが、覚えているだろうか。
前回の記事の時点では、おそらく石油由来のタールがボール状になったものではないかと推測されていたのだが、その後の調査で実はもっとヤバいシロモノだったことが判明したようだ。
それはとても人間と関係があるというか、人間から排出される物質が含まれていたのだそうだ。
分析の結果、球体の成分が判明
ニューサウスウェールズ大学の研究者らは、2024年10月中旬にクージービーチで発見された謎の黒い球体の分析を進めていた。
その結果、球体は当初考えられていたような石油由来のタールボールではなく、もっとなんというか、「人為的」な廃棄物であるらしいことがわかってきたのだ。
私たちが発見したのは、あまり科学的に聞こえないかもしれませんが、これまで考えていたよりもずっと不快なモノだったんです
研究チームのメンバーで分析化学者の、ウィリアム・アレクサンダー・ドナルド教授はこう語る。
分析の結果、球体から検出された成分は数百種類にも上るという。中でも主なものを挙げてみると、以下のようなリストができあがった。
- 食用油
- 脂肪酸
- カルシウム
- グリース
- 石鹸・スキンケア用品
- PFAS化学物質
- ステロイド化合物
- 降圧剤
- 殺虫剤
- 獣医用医薬品
- ディーゼル燃料
- 繊維
- 人間の体毛
- 避妊薬
- 娯楽目的の薬物
正体は人間の排泄物だった？
脂肪や油、グリース、カルシウムが多く含まれていることから、どうやら下水道と関係している可能性が示唆される。
もうはっきり言ってしまおう。どうやらこの黒い謎の球体は、人間の排泄物でできているらしいのだ！
ドナルド教授は、調査のプロセスを次のように振り返る。
これは数百から数千の成分を含む非常に複雑な混合物であり、重要な分析上の課題でした。
この謎の塊を演繹法を駆使して分析し、その発生源が人間の排泄物である可能性を突き止めるのは非常に楽しかったです。
炭素14年代測定の結果、その物質は主に脂肪や油、グリースを含んだモダンカーボン（現存する生物に由来する炭素）であり、油の流出によるものではないことがわかりました。
THCのようなドラッグや工業用PFASといった 「永久に残る化学物質 」と並んで、コプロスタノールのような人間の排泄物のマーカーを検出したことで、下水やその他の都市排水源が最も一貫した起源であることが判明したのです
この発表を受けて、地元シドニーの水道局は、現地の水道施設には既知の問題はないとの声明を発表。
正体を口に出すのもはばかられることになった「この球体」が、いったいどこからやって来たのか、どうやってこの海岸にたどり着いたのかという問題は、いまだ未解決のままとなっている。
だがこれらの問題が解明されない限り、この後も「この球体」がビーチに打ち上げられ続けることになるかもしれない。正体が判明したことで、さらに一日も早い原因究明が待たれる事態になったようだ。
ちなみに主任調査官のジョン・ビーブス氏は、「この球体」について、次のような感想を漏らしていたという。
本当にひどいニオイなんだ！ 今まで嗅いだことのないほど、ひどいニオイなんだよ！
タールボールも危険だが、「この球体」も危険度で言えば相当にヤバい。みんなも海岸で謎物体を見かけたらぜひ注意してほしい。
References: Mysterious Sydney beach blobs: scientists uncover their complex composition［https://www.unsw.edu.au/newsroom/news/2024/11/mysterious-sydney-beach-blobs-scientists-uncover-their-complex-composition］ / Coogee tar balls: Make-up of balls washed ashore revealed - and it's grosser than first thought［https://www.9news.com.au/national/coogee-tar-balls-makeup-of-balls-washed-ashore-revealed--its-grosser-than-first-thought/f8c74fe4-a2b3-4ac3-9af7-e93e9aaca30e］
