18日間水も食料も与えられない状態で生きのびたギネス記録を持つ男性、その理由にびっくり!

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 人間は飲まず食わずで、いったいどのくらい生き延びられるのだろうか。一説によると、水も食べ物もない環境では、4~5日程度しか生きられないのだとか。

 だが1979年、水も食料も与えられない閉鎖された環境の中で18日間を生き長らえ、ギネス世界記録に認定された男性がいる。今もこの記録は破られていない。

  しかも驚くべきことに、その断食は彼が自らの意思で始めたものではなく、警察の誤認逮捕によるものだった。

 実はこの男性、無実で独房に監禁されて「忘れられて」しまったために、断食せざるをえない状況に陥ったのだ。

誤認逮捕で留置された後忘れられてしまった男性

 1979年4月、事件はオーストリアの首都ウィーンで起こった。当時18歳だったアンドレアス・ミハヴェツさんは、交通事故の巻き添えを受けて警察に拘束された。

 彼は事故を起こした車に同乗していただけで、まったく責任がなかったにもかかわらず、警察は彼を逮捕すると、ボーデン湖畔にあるヘーヒストという小さな町の警察署に連行。地下にある留置場に収容した。

 ここまではまあ、不運ではあるが、ありそうな話だ。普通なら、誤解が解ければすぐに釈放されるだろう。そう、普通なら…

 だが、アンドレアスさんの不運はこれで終わりではなかった。

 なんと警察は彼を留置したまま忘れてしまい、18日間にわたって水も食べ物も与えずに監禁し続けてしまったのだ。

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「誰かが釈放しただろう」という誤解と思い込み

 この事態は、3人の警察官が彼を誤認逮捕した後、全員が「自分以外の警官が彼を釈放した」と思い込んたことにより発生したらしい。

 当時アンドレアスさんは、レンガ職人の見習いとして働いていたそうだ。

息子の行方を心配した母親が警察に助けを求めたが、その訴えは無視されたという。

 そして18日後、「悪臭がする」という苦情を受けて留置場を確認した結果、飲まず食わずで監禁されていたアンドレアスさんを発見した。

 救出されたとき、彼は20kg以上も体重を失っており、生きているのが奇跡とも言える状態だった。

 彼が生き延びることができたのは、留置場の壁に生じた結露を舐めて、わずかばかりの水分を補給できたからだという。

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警察官らは罰金刑、本人は無事賠償金を受け取る

 この事件に関与したマルクス・ウェーバー、ハインツ・ツェヘター、エルヴィン・シュナイダーの3人の警察官は職務怠慢で起訴され、最終的に27,520オーストリア・シリング(当時のレートで約32.8万円)の罰金をそれぞれ科せられることに。

 しかし結局、誰がこの件の責任者だったかは明らかにならず、警察官らは互いに責任を押しつけ合い、非難し合う結果となった。

 さらに驚くべき失態も明らかに。アンドレアスさんが発見される1日前に、警察官の1人がようやく彼を行方不明者として報告書を作成。

 だがその書類の書式が10年以上も前のものだったため、書類が上官の目に触れるまでに1週間もかかったと記録されているそうだ。

 その後ウィーンの最高裁判所は、アンドレアスさんが求めていた250,000オーストリア・シリング(当時のレートで約3,120万円)の賠償金の支払いを認めた。

 アンドレアスさんは数週間にわたる治療を受けて、無事に仕事に復帰することができたという。

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 そもそも逮捕した後で、容疑者の存在を忘れてしまうという事態があり得ないし、当時のオーストリアどうなっているんだよ?と疑問がわいてくる。

 アンドレアス・ミハヴェツ氏はこの事件により、ギネス世界記録の「食べ物または水なしでの生存記録」を保持することになったが、本人にとってはちっとも嬉しくない世界記録かもしれない。

他にもある?飲まず食わずで生きた記録

 ちなみに、正式な記録を持っているわけではないものの、インドでは80年も飲まず食わずで断食の苦行を行っていたという行者も存在していた。

 2020年5月26日に死去したプララド・ジャニさん(自称90)がその人で、子供の頃に女神の祝福を受けて、飲まず食わずで生きられるようになったんだそうだ。

 彼の場合、インドの軍医らの研究チームが2週間にわたって彼の生活を観察したが、確かにその期間中は飲まず食わずだったそうだからインド人もビックリだ。

 ただしその研究結果は公開されることがなかったそうなので、真相のほどは不明である。

 下の動画がその「観察」が行われた際に撮影されたものらしい。結果に困惑する研究チームの様子が見られる。

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 また、固形物は摂取せず、水やその他の飲み物だけで生存した記録では、スコットランドのアンガス・バルビエ―リさんが382日間という記録でギネス認定されている。

 彼の断食の目的はダイエットで、開始時の1965年の体重は約207kg。その後目標体重である82kgまで、約125kgの減量に成功し、1966年7月11日、自分から断食を終了したそうだ。

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References: Longest survival without food and water | Guinness World Records[https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/67607-longest-survival-without-food-and-water] / Incredible world record for surviving longest time without food or water - and the shocking police blunder behind it | The Sun[https://www.thesun.co.uk/news/24183798/world-record-longest-time-without-food-drink-police-error/] / Andreas Mihavecz - Wikipedia[https://en.wikipedia.org/wiki/Andreas_Mihavecz]

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