
最近では「レンタル彼女」や「レンタル彼氏」など、生きている人間をレンタルできるサービスが充実している。利用者のほとんどは同じ国の近くに住んでいる人だろう。
だが、あるアメリカ人女性は日本に来た時、日本の「レンタルおじさん」に興味がわき、そのサービスを利用したという。その体験談が話題となっている。
アメリカの女性が日本で「おじさん」をレンタルしてみた
今回、日本で「おじさん」をレンタルしたのは、アメリカの作家であり、詩人でもあるアイジャ・メイロックさんである。
彼女は19歳で、自らの経験をもとに「The Survival Guide To Bullying(いじめサバイバルガイド)」という本を著し、一躍ベストセラー作家となった。
以後も社会問題などについて、精力的に執筆や講演を重ねているほか、最近は高齢化問題に関心を寄せ、それがきっかけで日本を訪れたんだそうだ。
そんな彼女が興味を引かれ、利用してみたのがおじさんをレンタルするサービスを提供する「おっさんレンタル[https://ossanrental.thebase.in/]」である。
リストの中から自分の希望する「おじさん」を注文フォームから、あるは電話一本でレンタルできるサービスだ。
レンタルといっても怪しいお仕事は一切なし。公序良俗に反する依頼、えっちな依頼はお断りなので、その辺は安心してもらっていいだろう。
彼女の注文に応えてやってきたのは、桜井カズシさん(58)。英語が堪能なおじさんである。
おじさんをレンタルすると、人生について、あるいは経済的なアドバイスをしてくれるほか、もちろんショッピングや遊びにもつきあってもらえるんだそうだ。
人生の先輩としてアドバイスをもらえる「おじさん」需要
桜井さんはファイナンス関係の仕事をしていたが、退職して数年後、奥さんの勧めもあって新しい世界に飛び込んだんだそう。
新しい物事について学んだり、自分の知識を誰かと共有したりするのが好きな桜井さんは、自分自身がレンタルされるという新たな仕事をとても気に入っているとのこと。
現在彼は週に4回、「おっさん」としてレンタルされている。料金は1時間1,000円。一対一が気恥ずかしければ、グループで1人のおっさんをレンタルすることも可能だ。
その場合も、お客さん一人ひとりが1,000円ずつ払う必要がある。例えば友だちと2人でに1人のおっさんを1時間レンタルした場合、それぞれが1,000円ずつ、合計2,000円払わなければならない。
リクエストがあればディズニーランドに一緒に行ったりドライブに付き合ったりもするそうだが、桜井さんの場合、一番需要があるのは人生相談なんだとか。
人生の岐路に立っていたり、先の見えない苦しい時期にいたりする人たちが、困難を乗り切るためのアドバイスを求めてくるんだそうだ。
早速アイジャさんが「恋愛へのアドバイス」を聞いてみると、桜井さんの答えは「いつも相手に感謝すること」。
感謝の気持ちを常に忘れず、相手に言葉で「ありがとう」と伝える。それが、パートナーとうまくやっていく秘訣ということなのだろう。
「おじさん」から学べることはたくさんある
おっさんレンタルは、代表の西本貴信さんが、「おっさんなんてつまらない存在だ」というステレオタイプを打破しようと始めたサービスだ。
人生経験を重ねた「おっさん」たちが、いかに面白くて賢い存在なのかを知ってほしいというのがその動機だそう。
西本さんの考えに完全に同意します。
私は桜井さんと、最高の一日を過ごしました。彼の人生を学び、キャリアや愛や健康へのアドバイスももらいました。そして何よりも彼の目を通して、日本をより知ることができました。
「おっさんレンタル」と聞くと、奇妙に聞こえるかもしれません。ですが、実はこれは年上の世代と若い世代がお互いの価値を提供し合い、お互いに学び合える方法なんです (アイジャさん)
アイジャさんは桜井さんから多くを学び、桜井さんもまたアイジャさんから学ぶことがあったようだ。
海外の反応はおおむねポジティブ
アイジャさんの投稿を見たフォロワーからは、さまざまな感想が寄せられているが、そのほとんどがポジティブなもの。
- 素晴らしいアイディアだと思う。アメリカでは高齢者は見過ごされ、無視され、捨てられている。私ももうおばさんだけど、外見は変わっても心はまだまだ若いつもり。今も創作活動をしているし、身体だって動かしている。今61歳ですが、バンドでベースを弾いて歌っているのよ
- もっと料金を高く設定するべきだよ。彼のような年齢の男性は、失敗や成功の豊富な知識と経験を持っているから
- これは高齢者が孤独や鬱、その他さまざまな病気と闘うための革新的な方法だと思う。
素晴らしいよ- アメリカにもこのサービスが必要だよ!
- 同意します!(アイジャさん)
- 企業が高齢者を追い出すのを見るとイライラする。若い世代に多くのことを教えてくれる素晴らしい知識の基盤が失われていると感じるんだよ
- 年配の同僚たちが、退職した後に認知症になるのを見てきたよ。父も仕事を辞めるとすぐに衰えてしまったんだ。在職中は活き活きとしていたのに
- きっとお金のためにやってるわけじゃないのよね
- ある意味、ウィンウィンの関係だよね。彼は自分の経験を共有できるし、お客さんは経験豊富なおっさんからのアドバイスをもらえるし
- 「おっさん」として働くためには登録料がいるんだよ。だからここでレンタルできる「おっさん」たちは、基本的に金持ちなんだ
- 私は日本で英語を教えていたんだけど、その時に聴講生として通っていた大学では、高齢の学生がかなり多かったことを思い出したわ。彼らは若い学生と同じくらい、むしろもっと熱心に勉強していた。彼らにとって60歳は定年ではなく、新しい人生の始まりなの。日本の高齢者は本当に感動的なくらいステキ
- で、「おばさんレンタル」のサービスはどこ?
このサービスに登録している「おじさん」は全員が33歳以上で、桜井さんのように退職後にやっている人もいれば、副業としている人もいるそうだ。
その動機もいろいろで、生きがいを求めて、という人もいれば、ヒマつぶしと断言する人も。
もちろん、登録の際にはしっかり審査もあるそうなので、怪しい「おっさん」はまずいないと思っていいだろう。
お客さんのニーズもさまざまで、愚痴を聞いてほしい人や人生のアドバイスを求める人のほか、論文の添削をしてほしいなんて依頼もあるそうな。
中にはペットの散歩やゴミ出し、家具の組み立てや場所取りを頼んでくる、便利屋としておっさんを利用するお客さんもいるらしい。
西村さんは「雑談から内緒話、パシりまで、お客様のニーズにお応えします」とのことなので、みんなも人生に疲れた時、アドバイスが欲しい時、男手が欲しい時なんかは、おっさんをレンタルしてみてはどうだろうか。
私はネジ1本締められないほど不器用なので、家具の組み立てとか、配線とか、そういうのやってもらいたいな。本物の便利屋を頼むより安いじゃないか。
References: ‘I rented an older man for the day’: Author reveals her unique experience in Japan[https://www.hindustantimes.com/trending/i-rented-an-older-man-for-the-day-author-reveals-her-unique-experience-in-japan-101733456625908.html] / Instagram[https://www.instagram.com/p/DBn9gzMJk8x/]