
日本の「忠犬ハチ公」の物語は、飼い主に対するゆるぎない愛情と忠誠が多くの人の心を打ち、世界的にも有名となったが、タイで「ハチ公のようだ」と話題になっている犬がいる。
その犬は、コンビニの前で、亡くなった主人の帰りを数か月もの間、待ち続けているという。
セブンイレブンの前に帰らぬ主人を待ち続けるタイの「ハチ公」
2025年1月16日、コラートのFacebookグループ「Korat : เมืองที่คุณสร้างได้[https://www.facebook.com/KoratForumSkyscrapercity]」は、地元の写真家Mari-Mo Photography[https://www.facebook.com/MarioAndMona]さんが撮影した写真をシェアした。
舞台はタイ、イサーン地方最大の都市として知られるコラートで、観光客にも人気のヤーモー市場前にあるセブンイレブンだ。
店舗の入り口の前には1匹の犬が横たわっていて、投稿には「コラートのハチ公」というキャプションがそえてある。
そう、この犬は日本の忠犬ハチ公のように、亡くなった飼い主をこの場所で毎日ずっと待ち続けているのだという。
主人はコンビニ前で夜を明かしていたホームレスだった
犬は地域の人たちから「ムー・デーン(赤い豚)」と呼ばれていて、もともとはホームレスの男性の飼い犬だったんだそうだ。
その男性は心の病を患っていたようで、物乞いをしながらこの辺りをさまよっていたらしい。そして夜になると、愛犬と共に、このコンビニの外で夜を明かすことが多かった。
だがその男性は2024年11月、病に倒れ帰らぬ人となった。
以来ムー・デーンは、飼い主と一緒に夜を過ごしたこのコンビニの前で、二度と戻らぬ飼い主を待ち続けているのだという。
セブンイレブンのオーナーや店員たちは、ムー・デーンに水や餌をやり、寒い夜には毛布で包んでやり、さらにオモチャも与えて大切に世話をしている。
また、事情を知る街の人たちもムー・デーンのためにオヤツなどを持って来ては与えているんだそうだ。
ムー・デーンの傍らには、黄色い看板が置かれており、タイ語で次のように書かれている。
お客さまのご厚意に感謝します。
ただしムー・デーンは、レバーと牛乳を口にすることができません。どうか彼女が長生きできるように助けてあげてください
ムー・デーンは約4年間、ホームレスの男性と一緒に暮らしていたという。それはふたりのあいだに強い絆が生まれるのに、十分すぎる年月だったのだろう。
犬は飼い主がどんな職業であろうが、お金持ちであろうがなかろうがそんなことは一切興味がない。自分を愛してくれる人に忠誠を捧げるのだ。
引き取ってくれる人が現れる日を待ちながら…
この投稿を見た人たちの多くが、ムー・デーンの境遇に涙するとともに、彼女の面倒を見ているセブンイレブンに感謝の声を寄せていた。
- これを読んだとき、胸がいっぱいになって泣きました。犬はいつも正直で、忠実で、優しい生き物です
- この犬の飼い主さんと会ったことがある。亡くなったなんて知らなかった。今でも信じられないよ
- ムー・デーンが大好き! 彼女はいつも私にお腹を撫でさせてくれるの
- 誰か引き取ることは考えていないの? 外には蚊がいるし、夜は寒い。このままだと長生きできないよ
- タイにはたくさんの野良犬がいて、コンビニの前に横たわっている犬たちも多い。こんなストーリーを持っている犬もいるんだね。
みんな行くべきところがあるはず。すべての犬たちにやさしくしたいと思った。彼らは本当にかわいそうだよ- この犬を追い払わずに面倒を見てくれて、セブンイレブンのオーナーと店員の皆さん、ありがとう!
- なんて親切なセブンイレブンなんだろう。この店がもっと繁盛しますように!
- この犬はかなり年を取っているんじゃない? その犬生の終わりに、ちゃんと家を見つけられることを祈ってる
タイの東北にあるコラートは夜になると気温が下がり、14度を下回る日もあるという。日中は30度を超えているので、寒暖差からムー・デーンが体調を崩すのでは?と心配する声も多いようだ。
今のところ、彼女はセブンイレブンのオーナーや店員たちがしっかり世話をしてくれているようだが、やはり理想としては、温かい家庭に引き取られて第二の犬生を歩むことなんじゃないだろうか。
この写真を撮影したMari-Mo Photographyさんは、ムー・デーンの今後を見守り続け、彼女の生活に何か変化があったら共有すると約束している。
幸いにも、彼女を引き取りたいという声は多数寄せられているようだ。いつか近い将来に、新しいステキな飼い主さんとの出会いがあるよう祈りたい。