人なつこいラッコ、人間のいる場所に泳いできて、お気に入りの石を置いていく

人なつこいラッコ、人間のいる場所に泳いできて、お気に入りの石...の画像はこちら >>

 好奇心旺盛で頭の良いラッコにとって、石は日常生活に欠かせない道具だ。お腹の上で貝を割ったり、遊び道具として使ったりする。

中には「お気に入りの石」を大切に持ち運んでいるラッコもいる。

 カリフォルニア州で、釣りをしに桟橋に来た男性が、ラッコを目撃。そのまま立ち止まって様子を見ていたところ、ラッコが泳いで近づいてきた。

そしてなんと、自分の大切な石を水面から出してきて男性の足もと近くの桟橋の上にそっと置いたのだ。

「これ僕のお気に入りの石、貸してあげるよ」ってことなんだろうか?とにかくかわいいので見て欲しい。

漁師にお気に入りの石を見せにやってきたラッコ

 TikTokに投稿された動画は、釣り人のいる桟橋まで泳いでくるラッコの姿から始まる。

 釣り人の足元近くまで近づいてきたラッコは、何かを言いたげに視線を合わせ、その後持っていた石を桟橋にちょこんと置いたのだ。

 なんというかわいい仕草。釣り人に自分のお気に入りの石をプレゼントしにきたのだろうか?これで一緒に遊ぼうということなのだろうか?

[画像を見る]

 石を置いた後、ラッコは体をくるくると回転させながら、釣り人の近くを泳ぎ始めた。

 釣り人が石で桟橋をトントンと何度か叩くと、再びやってきて石を回収しにきた。

[画像を見る]

 釣り人はラッコとこんなに近くでコミュニケーションをとれたことに感動し、その愛くるしさに心を奪われたという。

 そりゃそうだ。私だってこんなことされたら、水に入って一緒にラッコと石遊びを楽しんじゃったっていいレベルだ。

泳げないけども。

[動画を見る]

知能の高いラッコは好奇心旺盛で遊び好き

 ラッコは海洋哺乳類の中でも特に知能が高く、好奇心旺盛な動物として知られている。その賢さは、道具を使う能力に表れている。

 ラッコはお腹の上に石を乗せ、硬い貝やウニをその上で叩いて割って食べる。この行動は本能的なものではなく、より効率よく獲物を食べるために試行錯誤を重ねながら身につけるものだ。また石を使って遊んだりもする。

 そのため、ラッコは自分にとって最適な石を選び、時には「お気に入り」として長期間持ち歩くこともある。

 ラッコは泳ぐ際に石を落とさないよう、前脚の下にある「ポケット」のような皮膚のたるみにしまって持ち運ぶことができるのだ。

 さらに、ラッコには個体ごとに性格の違いがあるものの、好奇心旺盛な子は人間や他の動物に対して興味を示す傾向がある。

 まあ、この賢さと好奇心の高さがわざわいして、サーファーからサーフボードを奪う窃盗ラッコなんかも存在するんだけども。

ラッコが石を釣り人に差し出した理由

 国際自然保護連合のカワウソ・ラッコの保存委員会(IUCN SSC Otter Specialist Group)の副議長であり、ラッコの行動を専門とする動物行動学者、マルゲリータ・バンディーニ[https://www.otterspecialistgroup.org/osg-newsite/]氏は今回の行動を、こう推測している。

このラッコは、もしかすると桟橋に上がろうとしていて、懐にしまっておいた石を失くさないよう、一旦取り出して桟橋の上に置いたのかもしれません。しかし、途中で気が変わって、そのまま水中に戻ることにしたのかもしれません(バンディーニ氏)

 また、もしかしたらラッコはもうこの石に興味が薄れ、漁師に「これ使ってもいいよ、自分もっといいやつ見つけちゃったから、もういらないわ」と渡した可能性もあるかもしれない。

 ラッコは同じ石を長期間使うことがあるが、もっと良い石を見つけると乗り換えることもあるという。

[画像を見る]

 いずれにせよ、ラッコが石を目の前に置いていくなんて経験、そうそうあるもんじゃないだろう。日本じゃ野生のラッコどころか、動物園ですらラッコがいなくなりつつあるんだから。

 ラッコはかつて北太平洋沿岸に広く生息していたが、19世紀の毛皮交易によって個体数が激減した。

 現在は保護活動によって回復し、特にカリフォルニア州沿岸では再び野生のラッコを見ることができる。彼らは主に沿岸の海藻の森に生息し、貝類や甲殻類を食べることで海の生態系を健全に保つ役割も果たしている。

編集部おすすめ