
アラスカ南西部カトマイ国立公園には、「サボノスキー・クレーター(Savonoski Crater)」と呼ばれるミステリアスなクレーターがある。
直径500m、深さ110mのその大穴はほぼ円形で、雨や雪解け水によって満たされている。
この穴が謎めいている理由は、形成されたプロセスを科学的に説明できないことだ。隕石によるものかもしれないし、火山によって形作られた可能性もある。
だがそれを裏付ける証拠がない以上、確かなことはわからない。ゆえに異世界のポータル説を信じる人すらいる。
サボノスキ・クレーターの特徴と謎
サボノスキ・クレーターは、1978年にアラスカ大学フェアバンクス校が発表した資料[https://www.gi.alaska.edu/alaska-science-forum/savonoski-problem]によると、直径約500m、深さ約110mに達する巨大な円形のくぼ地だ。このクレーターは雨水や雪解け水によって半分ほどが水で満たされている。
1960年代から1970年代にかけて、NASAの地質学者、ベヴァン・フレンチ氏、シラキュース大学のアネスト・ミュラー氏、アメリカ地質調査所(USGS)のピーター・ワード氏らの研究チームが、サボノスキー・クレーターを徹底調査し、1972年6月30日に研究論文[https://articles.adsabs.harvard.edu/pdf/1972Metic...7...97F]を発表した。
だがこの穴をできた原因を突き止めることはできなかった。
一見したところ、それは隕石の衝突によってできたかのように見える。
隕石によって作られたクレーターは、円形で深さがあるものが多いが(過去10万年で最大の衝突痕もそうだ)、サボノスキー・クレーターはまさにそうした特徴に当てはまる。
ところが当時の調査では、それを裏付ける証拠は発見されなかった。衝突の衝撃を伝える痕跡も、隕石のかけらと思われる物質もなかった。
ではサボノスキー・クレーターがマール(火口)である可能性はあるだろうか?
マールとは、マグマによる水蒸気爆発で作られる円形の火口のことだ。
日本では、鹿児島県指宿がマールの多い地域として知られ、「鰻池」や「山川湾」がその代表的なものだ。
だが、やはり当時の調査でマールの証拠は見つからなかった。サボノスキー・クレーターの周辺に火山によって形成された地形はなく、地下にマグマがあることを示す痕跡もなかった。
分厚い氷床が証拠を消し去ってしまった?
現時点で、サボノスキー・クレーターの正体は衝突クレーターかマールのどちらかという説が有力だが、それを裏付ける証拠はない。
わかっているのは、それがかなり古く、少なくとも一度は氷期を経験しているだろうということだ。つまり今から2万3000~1万4700年前は、分厚い氷床におおわれていたと考えられる。
これまでの調査で、その起源を伝える証拠が発見されなかったのは、これが原因かもしれない。そうした氷によって証拠が消し去られてしまったのだ。
だが、このクレーターの奥深くを掘削して調べるのならば、そこに手掛かりが残されている可能性はまだあるそうだ。
References: Gi.alaska.edu[https://www.gi.alaska.edu/alaska-science-forum/savonoski-problem] / Nps.gov[https://www.nps.gov/media/photo/gallery-item.htm?id=26e11f15-d561-40fe-a06c-3b5feb308b85&gid=62E4AB9B-0F0D-49A1-9686-B9AB4F39C6A0] / Livescience[https://www.livescience.com/planet-earth/geology/savonoski-crater-the-mysterious-perfectly-round-hole-in-alaska-that-scientists-cant-explain]
本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。