
世界の謎・世界の不思議にワクテカしていた昭和の時代。UMA(未確認生物)の人気をネッシーやツチノコと争っていたのが雪男のビッグフットだった。
ヒマラヤに棲むイエティと北米で目撃されるビッグフットが、雪男界の二大巨頭とされ、世界中で注目を集めていたのだ。
そして今回、アメリカのカリフォルニア州では、どうやらこのビッグフットを州の「公式未確認生物」とするため動き始めたようだ。
州議会に提出された、大真面目な「ビッグフット」法案
発端は2025年2月14日、バレンタインデーに州議会に提出された、州議会法案666号である。その内容は以下の通りである。
現行法では、州旗と州の紋章が定められており、その中にはゴールデンポピーが公式州花、カリフォルニアセコイアが公式州木と定められている。
この法案は、ビッグフットを州の公式未確認生物(UMA)として指定する法律を制定するという議会の意図を表明するものである
何とも不吉なナンバーを持つこの法案、どうやらビッグフットをカリフォルニア州の「公式UMA」として認めようという趣旨のものらしい。
なんだ、公式にその存在自体を認めるわけじゃなかったのか。しかしこの法案を提出したクリス・ロジャーズ議員は大まじめである。
実は同議員の選挙区は、1967年にビッグフットを撮影したものとして有名になった動画「パターソン・ギムリン・フィルム」が撮影された場所なんだそうだ。
下の動画はその映像を、最新の技術でクリアにしたもの。だがこれでもまだ、真偽の決着はついていないと信じたいらしい。
ビッグフット実在派はおおむね歓迎ムード?
長年のビッグフット研究家であり、アニマル・プラネットの「ビッグフットを探せ」シリーズの元主演者であるマット・マネーメーカー氏は、1980年代からずっとこのUMAに魅了されてきた。
彼はこの法案について初めて知った時、信じられない気持ちだったようだ。
最初は冗談だと思ったよ。
州があらゆるものを公式認定していることへのパロディじゃないかってね。
でもどうやらこの法案は本気らしいんだ。州は公式のUMAを持とうとしているようだ。カリフォルニアはビッグフットが世に知られるようになった場所だし、理にかなっているよね
マネーメーカー氏のこれまでの調査によると、ビッグフットは単体ではなく、集団で存在している一つの「種」だという。
目撃情報が一番多いのは、メンドシノ郡から北へ向かった海岸沿いの地域と、セントラルバレー北部を囲む山地からシエラネバダ山脈、そして南カリフォルニアのトランスバース山脈一帯なんだとか。
私自身、複数のビッグフットと何度も接近遭遇を果たしたんだ。一度は約6mの距離で対面したことがある。その時、ビッグフットの存在を確信したんだよ
各地で目撃情報はあるものの決定打はいまだ無し
ちなみにビッグフットは北米全域で目撃されているが、アメリカ先住民の間に伝わる「サスカッチ」と呼ばれるUMAと同一視される場合も多い。上のマネーメーカー氏も、この2つの名称を同等に使っている。
これまでの主なビッグフットの目撃情報には以下のようなものがある。
- 1924年、ワシントン州のエイプ・キャニオンで、炭鉱の坑夫らがビッグフットを発見して射殺した
- 1940年、ネバダ州にある牧場をビッグフットが襲撃
- 1958年、ウィロークリークで道路工事に従事していた作業員たち(トラックの運転手とも)が、巨大な人間の足跡らしきものを発見。石膏で型を取ることに成功した。
- 1967年10月にカリフォルニア州のブラフ・クリークで撮影された、前述の「パターソン・ギムリン・フィルム」。
だがこの映像に対してはフェイクだとか着ぐるみだとかいう指摘も多く、映像の真偽は謎に包まれたままだ
2021年には、アイダホ州で二足歩行の毛むくじゃらの人影が撮影されて話題になった。
上の映像と同時期に、ミシガン州でも撮影されていたビッグフット。
ところで2024年9月24日、オクラホマ州ロートンで撮影されたというビッグフットの映像が話題になった。この映像はあまりにも鮮明過ぎて、「どう見てもフェイクだろ」との声も多かった。
案の定、後にフェイクだということが発覚したが、こちらは着ぐるみを着た偽物さんによるエンターテインメントだったようだ。
ビッグフットは現生人類以前に存在していたヒト科の生物の生き残りであるという説や、類人猿や人間、アメリカグマの見間違い説、地球外生物説などさまざまな説が飛び交っており、決定打と言えるものはないようだ。
とりあえず北米大陸に野生の猿や類人猿は存在しないとされているので、もしビッグフットの正体が霊長類だとしたら、どういう経緯でこの地に棲みつくようになったのか、新たな謎が増えそうだ。
町おこしのキャラクターとして有効か
もっとも、カリフォルニア州議会の議員たちだって、ビッグフットの存在を心の底から信じているガチ勢ばかりではない。
今回の法案は、ビッグフットをいわば州の公式マスコット的な存在として認めようじゃないかという趣旨らしいのだ。町おこしのゆるキャラのアメリカ版といったところだね。
実際に、ネス湖のネッシーの経済効果は2018年当時、年間61億円とも言われていたしね。
カリフォルニア州もビッグフットの生息地としての知名度を上げ、観光の目玉にすることで、地域の活性化にもつながると踏んだのだろう。
そういった意味では現地の観光業に従事する人たちからは、歓迎の声も聞かれるようだ。
実はこれまでにも、ワシントン州やアイダホ州で、同様の動きが起こったこともあるらしい。だがどちらも、州としてそんなものを公式に認めるわけにはいかないと、却下された経緯がある。
ちなみに日本の広島県にも、ヒバゴンとかいう雪男ライクなUMAが生息していると話題になったことがあるが、このヒバゴン、現在も町おこしのシンボルとして活躍してくれているみたいだ。
ビッグフットもこんな感じで、カリフォルニアの人たちに愛されるキャラクターになるのだろうか。
現在、この法案666は検討中だそうだが、議会を通過した場合、知事の署名があれば正式に施行されることになる。
そうなれば、カリフォルニア州からゆるキャラビッグフットグッズとか、ビッグフット探索ツアーとか、様々な商戦が活性化されるんだろうか?ちょっとそれはうれしいかもだ。
References: California takes steps toward officially recognizing Bigfoot[https://www.sfgate.com/northcoast/article/california-takes-steps-toward-officially-20175812.php]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。