
今も昔も、小さな子供のお世話は大変だ。いくらテクノロジーが発達しても、イヤイヤ期だとか魔の二歳児だとかいう言葉はなくならない。
それでも何とか、あの手この手でぐずる子供をなだめ、大人しく遊ばせたいと願う気持ちは、子育て経験のある人なら共感するのではないだろうか。
そんな親心を汲んだお助け商品が、いろいろ開発・販売されてきたわけだが、かつては、逆に使うと危険なとんでもない商品も登場していたようだ。
車内に吊るす赤ちゃん用ハンモック
今では考えられないことだが、チャイルドシートのなかった時代、赤ちゃん連れで車で移動するとなると、赤ちゃんはずっと抱っこしているか、クーハン(簡易ベビーベッド)に寝かせるかといった選択肢しかなかった。
だが抱っこし続けていると腕が疲れるし、クーハンに寝かせると泣き止まない。そんな時は、赤ちゃんが快適にゆらゆら過ごせるハンモックがおすすめだった。
“Lull-A-Baby” カーハンモックで赤ちゃんを安全に!
これまでに作られた中で最も安全で快適な車用ベッド
どんなハードトップ車にもたった1分で取り付け可能
どうやらこのハンモックは、運転席の後ろに吊るして設置するようになっているらしい。「安全」を強調しているが、万が一衝突事故でも起こした場合を考えると背筋が凍りそうだ。
指しゃぶりをやめさせる親指ガード
子供の指しゃぶりに悩む親は多い。何とかしてやめさせようと試行錯誤しても、思うようにやめてくれない。
新生児のうちの指しゃぶりは、いわゆる「吸啜反射」であり、お乳を吸うための本能だが、幼児期になっても解消しない場合はやはり心配になってしまうもの。
そんな時はコレ、子供の親指に金属製のワイヤーを巻き付けて、指しゃぶりができないようにしてしまおう!
指しゃぶりをやめさせよう!
指しゃぶりはベイビーアリスの親指ガードを使えば、すぐに直すことができます。
安全・衛生的・快適。モネルメタルワイヤー製で安価です。一流の赤ちゃん専門家によって認められています
モネルメタルはニッケルと銅の合金で、耐食性・耐熱性に優れているため、海中や宇宙空間でも活用されている優れものらしい。
さすがにワイヤーはどうかと思うが、現在でも同じようなコンセプトの、プラスチック製や布製の商品が使われているようだ。
アパートの窓に取り付けるベビーケージ
現代の日本では、窓にはたいてい網戸がついていたりするが、世界には網戸のない窓がデフォなところも多い。
部屋の換気をしようとしても、予測不能の動きをする赤ちゃんが、窓から身を乗り出したり落ちたりしないか、不安で仕方がないことも。
赤ちゃんの健康のためにも新鮮な外の空気を吸わせたいし、お日さまの光も浴びさせたい。だがアパート住まいの子育て世帯は、気軽に外へも行きにくい。
1920年代に発売されたこのケージを使えば、高層アパートでも安心して、子供たちを外の風や日光に当ててあげられる。
アパートの窓から吊るされた金網のケージに入れられたイギリスの子供たちは、母親が家事に追われている間、日光と新鮮な空気の中で遊んでいます。
金網で作られたケージはしっかりと固定され、アパート側は布製の網で守られていて、子供たちが部屋に戻るのを防ぎます
こちらが当時の映像に見る、実際のケージの使い方だ。
今でも窓用のベビーフェンスが売られているから、発想としては間違っていないと思うのだが、窓の外だけじゃなく、室内にも戻れないようになっているあたりが「ケージ」なわけなのかな。
水銀入りの歯ぐずり防止パウダー
赤ちゃんに初めての歯が生えてくるとき、歯茎がむずむずしたり痛んだりして、ぐずぐずご機嫌が悪くなりがちだ。
この歯ぐずり期の不快感を軽減するために、「歯ぐずりパウダー」なるものが存在するのをご存じだろうか。
かつてさまざまな成分が薬剤として用いられてきたが、なんと水銀の一種である塩化第一水銀(カロメル)を含んだものが使われていた時代があった。
ご存じの通り、水銀は非常に毒性の強い物質である。現在でも水銀中毒で死亡する事件が時々発生しているが、その反面、水銀には薬として使われてきた長い歴史もある。
水銀入りの歯ぐずりパウダーは、イギリスでは1950年頃まで使用されていたという。これが禁止されたのは、多くの乳幼児が「ピンク病」に罹患し問題になったからだ。
この「ピンク病」とは、水銀中毒による先端疼痛症の一種で、手のひらや足の裏が鮮やかなピンク色を呈することからこう呼ばれている。
21世紀に入っても、国や地域によっては水銀入りの歯ぐずりパウダーが使われていたらしい。下の画像は2003年に報告された、インド製の水銀入りパウダーを使った子供が、ピンク病と診断された際のものだ。
歯ぐずり用のパウダー自体は現在も売られているが、その成分はハーブなどを主な原料とした、安全で穏やかなものだという。
モルヒネ入りの歯ぐずり用シロップ
上記の水銀入りの歯ぐずりパウダーは論外として、歯が生え始めの乳児のための商品には、さらにこんな恐ろしいものもある。それは「ミセス・ウィンスローの鎮静シロップ」という商品名のシロップだ。
1845年に初めて販売されたこのシロップは、赤ちゃんを落ち着かせるだけでなく、歯をキレイにし、口臭を抑えるほか、下痢にも効果があるとして、アメリカやイギリスで人気を博した。
だがこのシロップには、乳幼児にとって危険な量のモルヒネが含まれていたことを、当時の親たちは知る由もなかった。親たちはシロップの成分を知らぬまま、子供に与え続けたのだ。
下の画像は、このシロップのチラシのもの。
モルヒネ入りのシロップを飲まされた赤ちゃんは眠りにつき、二度と目覚めないケースもあった。犠牲者の数は、推定で数千人とも言われている。そのためこのシロップは、「赤ちゃん殺し」の異名をとるように。
アメリカでは1906年になって純正食品医薬品法が施行され、麻薬成分などを含む製品は成分の記載が義務付けられることとなった。
その結果、1911年にアメリカ医師会がこのシロップの危険性を指摘し、乳幼児の死亡との関連を示唆した。だが完全に店頭から消えたのは、1930年代に入ってからだという。
References: 5 Horrifically Unsafe Baby Products from History[https://www.cracked.com/article_45644_5-horrifically-unsafe-baby-products-from-history.html]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。