
大海原を駆け抜け貿易を支える船はとかく巨大で圧倒されるが、2024年にデビューしたノルウェーの「ホーグ オーロラ(Höegh Aurora)」は9100台もの車を運べる世界最大級の自動車運搬船だ。
まず目につくのは、全長およそ200m、幅37.5m というモンスター並の船体だろう。
ホーグ オーロラは、EVも運搬できる高層ビルのようなデッキに、1,500㎡ものソーラーパネルをまとい、ゼロエミッションに備えた多燃料エンジンを搭載。
持続可能な未来のために、従来の耐久性や安全性に加え、エコ性能や効率性をアップするテクノロジーを満載した最先端の船なのだ。
9100台の車を運ぶモンスター級の巨大輸送船
この数十年間、巨大な船舶はさまざまな物資を運び続けてきたが、ホーグ オーロラ(Höegh Aurora)はとりわけ特異な存在だ。
長さ199,99m、幅37.5m、14層ものデッキ。新人どころかモンスター級の大きさに思わず言葉を失う。
この船の収容力は圧巻で、9100台もの自動車が運搬できる。
だがただの巨大運搬船とは違う。「海を駆ける技術と環境意識の結晶」と称される設計により、次世代の輸送船という立ち位置なのだ。
EVにも対応し電車も余裕で運搬
その広大なデッキは、先が見えないほどのスペースで、従来の車だけでなく今どきのEVにも対応。
そのためコンパクトカーから高級SUVまで、さまざまな車両を安全かつ効率的に収容し、運ぶことができる。
さらに電車も余裕で運ぶ。
船から電車がそのまま出てくるなんて想定外もいいところ。にわかに脳が受け付けないや。
環境性能を追及し、未来を運ぶエコロジーを形に
そしてこの船は、地球規模での炭素排出削減が叫ばれる今、エコな設計に注力しており、高層ビルのようなデッキの上層には1,500㎡ものソーラーパネルが設置されている。
そこで得られる電力が、航行中の電力を30~35%削減する。
さらにヘグ・オーロラは革新的な多燃料エンジン技術により、未来に備えた設計もなされている。
このシステムは、脱炭素に向けた液化天然ガス(LNG)をはじめ、将来的にはゼロエミッションを叶える燃料への移行までを想定しており、引き続き環境負荷の大幅な低減を目指す。
この船の所有者であるノルウェーのホーグオートライナーズ(Höegh Autoliners)は、2027年までに、就航する全船が炭素排出量ゼロの燃料「クリーン燃料アンモニア」で稼働するエンジンを備える予定だ。
同社は「この船が、国際海洋輸送の持続可能性を加速する」と明言し、業界全体が持続可能なエネルギーシステムへと切り替わる、グリーントランジションへのリーダーシップを垣間見せている。
安全性や効率性も兼ねそろえた世界最大級の船
船内に一歩足を踏み入れると、途方もない空間が現れる。この規模といい、船というより海に浮かぶ要塞のようにも見えてくる。
各層の設計は巧みに計算されており、最大限の積載能力を確保しながらも、安全性や効率性を十分に満たす運搬を実現している。
車両の積み下ろしをスムーズにするランプも一つひとつが考え抜かれた位置で光を投じ、自らの役目を果たすことで、スムーズな作業を静かに支えている。
さらに、強固な船体とパワフルなエンジン、先進的なナビゲーションシステムにより、荒れ狂う海や強風の中でも安定した航行が可能だ。
2024年夏に日本への初寄港も
ちなみにホーグ オーロラは、中国江蘇省の中国招商重工(CMHI)で建造された。
2024年8月8日の竣工から間もない13日に、日本への初寄港として茨城県の常陸那珂港区に寄ったりしていたそうので、今後日本の港でも見かけるチャンスがあるかもしれない。
大きいだけじゃなく、環境にもやさしく効率も良い世界最大級の運搬船。
References: Odditycentral[https://www.odditycentral.com/technology/monster-of-the-seas-worlds-largest-vehicle-carrier-can-hold-over-9000-cars.html]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者向けにわかりやすく再構成し、独自の視点で編集したものです。