なぜそこに?アメリカの空港滑走路に墓が埋め込まれている理由

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 アメリカは土葬文化が残っており、遺体はお棺に入れて埋められるのだが、死者が眠るお墓の上を通るのはさすがに抵抗を感じるんじゃないだろうか?

 直接足で踏むわけじゃなくて、飛行機に乗って通り過ぎるにしても、だ。

 アメリカにのジョージア州には、空港の滑走路に埋め込まれたお墓がある。

日夜飛行機が行き交う空港、それも滑走路の下にいったいなぜお墓があるのだろう?その理由にせまってみよう。

滑走路の下に埋め込まれたお墓

 ジョージア州のサバンナ市にあるサバンナ・ヒルトンヘッド国際空港[https://savannahairport.com/]。2025年4月現在、国内線11社、国際線1社が就航している国際空港である。

 国際空港といっても、国際線はカナダとプエルトリコへの5路線のみ。その他の79路線は、全てアメリカ国内の都市を結んでいる。

 2024年の統計では、1日の発着便数は平均315便。年間で約400万人以上の旅客が利用しており、日本でいうと宮崎空港や熊本空港に近い規模である。

 そんな空港の滑走路に、お墓が2つ埋め込まれているというのだ。このお墓、人工衛星からも確認でき、GoogleMapでもしっかり見ることができる。

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戦時中の拡張工事で空港に取り込まれることに

 なぜ、毎日多くの飛行機が行き交う滑走路に、お墓が埋め込まれているのだろうか。

 事の発端は第二次世界大戦中にさかのぼる。1942年、軍事作戦の拡大に伴い、米軍はこの場所にあった飛行場を拡張することになった。

 しかしここには、1800年代からこの地で農場を営んでいたドットソン家の墓地があったのだ。

 ドットソン家との協議の結果、奴隷のものを含め100基ほどあった墓地の大半は、近隣にあるボナベンチャー墓地に移転することで合意した。

 だが移転の条件として、一族の先祖であるリチャード・ドットソンとキャサリン・ドットソン、さらにその親族2名が眠る計4基の墓だけは元の場所にそのまま残してほしいとの要望があり、当局はこれを受け入れた。

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 その結果、リチャードとキャサリンの墓は滑走路に埋め込まれ、親族であるダニエル・ヒューストンとジョン・ドットソンの墓は滑走路脇の敷地に残されることとなったのだ。 

 リチャードとキャサリンは、50年間連れ添った夫婦だったという。子孫たちは、2人はその生涯を過ごした土地を離れたくないに違いないと思ったようだ。

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他にもあった「空港内のお墓」

 実は敷地内にお墓がある空港は他にもある。同じジョージア州フォーサイス郡のマティス空港も、2014年に閉鎖されるまでは滑走路に墓があったらしい。

 また、滑走路というわけではないが、アメリカ海兵隊の普天間基地の敷地内に地元の住人の墓所[https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20250413/5090031197.html]があって、年に1回だけ墓参りのために立ち入りが許されるのだそうだ。

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2人の幽霊が出るという噂も…

 リチャードとキャサリンの墓は、現在この空港でメインとして使われている10番滑走路にあり、日夜何百機もの飛行機がその上を通り過ぎていく。

 365日轟音と振動にさらされているこのお墓。中にいる2人は、とても安らかに眠ってなどいられないのではないだろうか。

 ちなみにこの空港では、日が沈んだ後に飛行機が着陸すると、滑走路の北側に2つの人影が現れると言われているんだそうだ。

 これが滑走路のお墓に眠る2人の幽霊なのか、全く別の霊なのかは定かではないが、パイロットや職員の間では実際に見たという人も多いらしい。

 まあ、お墓の主が、「頼むから静かに眠らせてくれ」と言いに出て来たくなっても不思議じゃないと思っちゃうよね。

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References: Yes, those are actual graves in the middle of your runway, thanks for flying

本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。

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