
インドネシアバリ島のウルワツ地区の路上で、ひときわ痛々しい姿の犬が保護された。
皮膚がただれ、毛がほとんど抜け落ちたその犬は、犬種の判別も困難なほどボロボロになっており、現地の住民の目にも衝撃的な状態だった。
生死の境をさまよっていた犬の命を救ったのは、動物保護団体Mission Paws’ible[https://missionpawsible.org/]の創設者であるプルー・バーバーさんだった。
彼女は衰弱した犬を見つけた時、その姿に心を痛め、すぐに救助した。そしてその犬は見事に回復し、美しい本来の姿を取り戻した。この犬は、人間や他の動物にとてもフレンドリーなあの犬種だったのだ。
犬種もわからないほどボロボロの犬を保護
プルーさんがこの犬を見つけた時、犬は衰弱しきっていた。彼女はこの犬に「バズ」という名前をつけ、毎日通って手ずから餌を与え続けた。
最初は彼の状態を見るのも恐ろしかった
プルーさんは、出会った頃のバズの様子についてこう語っている。この犬は明らかに、適切かつ早急な治療と、たくさんの愛情を必要としていた。
だがバズは明らかに人間に対して不信感を抱いており、最初はプルーさんにもなかなか心を許さなかったという。
プルーさんは普段の活動でも、動物が心を開くまで忍耐強く接することをモットーにしている。
バリ島では野良犬の多くが過酷な環境に置かれており、人間との信頼関係を築くこと自体が、彼らにとっては大きなチャレンジなのである。
だが今回、プルーさんの努力が実るのに、そう長い時間は必要なかったようだ。1週間後、バズはついにプルーさんに心を開き、彼女の車に乗りこんでくれたのだ。
彼女がバズを獣医のもとへ連れて行くと、早速治療が始まった。バズの皮膚状態は徐々に改善し、体力も回復していった。
実はゴールデンレトリバーの子犬だった!
バズの皮膚の状態があまりにもひどかったため、プルーさんや獣医たちの誰もが、バズがどんな犬種なのか想像もつかなかったという。
最初は誰もバズがどんな犬なのか、まったくわかりませんでした。彼の姿はあまりにも痛々しく、元の姿を想像するのが難しかったんです
しかしバズが健康を取り戻し、もともとの毛並が復活して来ると、プルーさんたちは驚きを隠せなかった。彼は雑種ではなかったのだ。
治療が進むにつれ、バズの身体には長くて美しい金色の毛が生え始めた。獣医たちは、バズがゴールデン・レトリーバーであることを確認した。
ちょっと前までボロボロの皮膚に悩まされていたバズが、実はこんなにもふわふわで愛くるしい子だったとは、誰も想像できなかっただろう。
美しい毛並を取り戻すと同時に、バズの本来持っていた甘えん坊で人懐っこい性格も、元通りの輝きを取り戻した。
予想通り、彼はとてもフレンドリーで、本当に穏やかな犬でした
もう大丈夫。プルーさんはすっかり元気になったバズに、ふさわしい引き取り手が現れるまで、自分の手で育てることを決めたのだった。
素敵な「ずっとのおうち」が見つかる
バズの回復を見守りながら、しばらくは穏やかな時間が過ぎて行った。優しいバズは、施設にいる他の犬たちともすっかり仲良くなり、少し前の弱々しい姿が嘘のように、走り回って遊ぶように。
そんな時、プルーさんはバリ島でアクロバット教室を運営している女性と知り合いになった。
彼女は大の犬好きで、バズの物語を聞いて興味を持ち、会ってみたいと希望してきた。そして実際に面会した瞬間、彼女はバズと恋に落ちた。
現在バズは新しい家族のもとで、かつての過酷な生活とはまるで違う、幸せな第二の犬生を満喫している。
飼い主さんの運営するアクロバット教室で、子どもたちと触れ合い、時には彼らの動きを真似て一緒に遊ぶこともあるそうだ。
バズのストーリーをSNSなどで知ったユーザーからは、感謝と感動を伝えるコメントが寄せられている。
- バズは天国から送られた変装の天使ね
- 私は普段、こういうところにコメントはしないんだけど、本当に感動しました
- なんてハンサムなの! バズはとっても幸せそうに見えるし、彼の毛皮は今じゃ黄金に輝いてるわね
- 彼が最高の犬生を送るチャンスを得られて、本当に嬉しい
- バリ島ではたくさんの犬が飢えています。救おうとしてくれている人たちはいるけど、保護したり去勢手術をうけさせたりするにはあまりにも多過ぎるんだよ
- まったく同意します。ここではたくさんの犬たちが助けを必要としている。バズはラッキーだったね。認識を広めてくれてありがとう
- バズが心に傷を残していないようなのが素晴らしいわ。彼が今、愛情深く安全な家で、ステキな生活を送っていることを嬉しく思います
- ハッピーエンドのお話を聞くと幸せな気分になれるよ
バリ島の動物たちのために持続可能な保護活動を
プルーさんはもともとグラフィックデザイナーだったが、バリ島でさまざまな動物プロジェクトのデザインを手がけるうちに、自分で病気やケガで苦しむ動物たちのために何かしたいと考えるようになった。
そして2015年にMission Paws’ibleを設立。以来献身的に、困っている動物たちに手を差し伸べてきたのである。
私はネパールやインド、マレーシア、タイ、そしてインドネシアを何年も旅して、動物たちの苦しみを目の当たりにし、行動を起こそうと決心しました
グラフィックデザイナーとしての経験と実績を活かし、プールさんは救助した動物たちのストーリーテリングに注力するという、他とは違ったアプローチで活動を世界に向けて発信し続けている。
SNSやインターネットメディアを通じて、保護された犬たちの物語を発信するうちに、視聴者数の増加、ひいては寄付の増加にもつながっている。
そして2024年、彼女は保護犬たちが安心して暮らせるサンクチュアリとして、「ヒーリングセンター[https://missionpawsible.org/the-healing-centre/]」を設立。
ここには常時、最大で25匹の保護犬たちが収容され、リハビリやセラピーを受けて、心と身体の回復を目指しているそうだ。
私の物語はまだ終わっていません。バリ島で実現したいプロジェクトはまだたくさんあります。
野良で生きる動物と、飼育されている動物双方に大量の不妊手術を行って、野良の動物たちを減らしていきたいし、狂犬病撲滅のための地方自治体と連携した大量ワクチン接種も必要です。
また、移動が困難な島で助けを必要とする動物たちを支援する移動獣医サービスや、野良犬や野良猫の監視に役立つモバイルアプリの開発などを考えています
プルーさんは今後も、世界中の人の心に響くようなストーリーを発信しながら、持続可能な保護活動を続けていく決意だという。
References: His Rescuers Couldn't Believe What Kind Of Dog He Turned Out To Be[https://www.thedodo.com/daily-dodo/his-rescuers-couldnt-believe-what-kind-of-dog-he-turned-out-to-be]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。