水中の料理長!白いイソギンチャクをコック帽のように頭に乗せたカニが目撃される
白いイソギンチャクを身にまとったかにが水中の料理人のようだと話題に。

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 水中の料理人なのか?まるでコック帽をかぶっているかのように見えるカニがダイバーによって発見された。

 コック帽のように見えるのは白いイソギンチャクだが、結構な高さがあるので、このカニは料理長なのかもしれない。

 トップ画像はイラストだが、実際の映像はこの後すぐだ!本当にコックみたいに見えるよ。

 コック帽をかぶったカニの料理人?

 この映像は、カリフォルニアでスキューバダイビングをしていたInstagramユーザーのキャシー・ブラウンさんが撮影し、2025年3月11日に投稿したものだ。

 この日は視界が悪かったのだが、突然目に飛び込んできたのは、コックの帽子をかぶったかのようなカニの姿!

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 キャシーさんは、「水中で見たものの中でも、とびきり奇妙で笑っちゃったのがこれ!巨大なマスキング・クラブ(このカニの種)が、白いイソギンチャクをシェフの帽子み」たいに頭に乗せていたのよ!」というコメントと共に、その時に撮影した映像を共有してくれた。

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他の生物を身にまとう、このカニの正体は?

このカニの正体は、英語では「マスキングクラブ」または「モスクラブ」として知られている「Loxorhynchus crispatus(ロクソリンクス・クリスパタス)」という種だ。

 アメリカ西海岸からメキシコにかけての海域に生息しており、甲羅に海藻や海綿、コケムシやイソギンチャクなどをくっつけて偽装し、自らの姿を隠す行動をすることで知られている。

 特に若い個体では、捕食者から身を守るため、この偽装がより念入りになるという。

 彼らの甲羅には「setae(セタエ)」と呼ばれる、フックのように曲がった微細な毛が生えており、それを使って他の生物をがっちりと固定している。

 さらに面白いのは、一方的に他の生物を利用しているわけではないということだ。たとえば頭にのせたイソギンチャクは、カニの移動によって得られる水流のおかげで酸素や、エサの食べ残しから栄養を得ることができる。

 つまりこれは相利共生と呼ばれる、お互いに得をする関係なのだ。

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 キャシー・ブラウンさんは、普段からこの種のカニが何かを身にまとう習性を知っていたが、今回のように「コック帽」スタイルでばっちり決めた個体を見たのは初めてだったという。

距離は保っていたけれど、見とれてしまったわ。
シェフ帽をかぶったようなその姿は、あまりにも完璧で可愛すぎた

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 このLoxorhynchus crispatusは日本には分布していないが、よく似た生態を持つモクズショイ(Camposcia retusa)というクモガニ科のカニなら日本沿岸にも生息している。

 こちらもまた、甲羅に藻類や海綿、時には他の動物まで背負い、自らの姿を隠す「偽装ガニ」の一種だ。

 房総半島以南の浅海で観察されるモクズショイは、やはり先端がフック上になったセタエを使って他の生物を甲羅に固定し、共生関係を築くしたたかな生存戦略を持っている。

 見た目はユーモラスでも、どちらも“生き抜く知恵”に満ちた達人カニだ。それにしても本当に白いコック帽をかぶっているカニにしか見えないのは面白いね。

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