
オーストラリアのビクトリア州ライ沖でダイビングをしていた女性が、珍しい白いエイの姿をビデオに収めることに成功した。
このエイはオーストラリア近海に生息するコモンスティンガレーの突然変異体と見られており、幻想的な姿をとらえた貴重な映像だ。
真っ白なエイが泳いでいる!
2025年4月終わりのある日のこと。オーストラリアのダイバー、ジュールズ・ケーシーさんは、ダイビング中に自分の目を疑った。
珍しい真っ白なエイが、海底を滑るように泳いでいたのだ。
2日前にこのエイを発見したのですが、信じられないほど美しいと思いました。エイはとてもリラックスしていて、私は15分ほど一緒に泳ぎ、そのユニークさに感嘆しました
こちらがその時に撮影された映像である。
ジュールズさんによると、このエイはトビエイ目ヒラタエイ科に属する「コモンスティンガレー[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%BC](Trygonoptera testacea)」ではないかとのこと。
アカエイを意味する「コモン・スティングレイ(Common Stingray / Dasyatis pastinaca)」と混同しやすく、同じトビエイ目でも違う種である。
どちらにせよ、白いエイと言うのは非常に珍しいと言えるだろう。ジュールズさん自身は、アルビノなのか白変種なのかわからないと語っている。
アルビノとは先天的な遺伝子疾患で、体内でメラニンが生成されないために皮膚や体毛が白くなる状態を言い、瞳の色が赤みを帯びることでも知られている。
白変種は何らかの理由で皮膚や体毛の色素が消失する現象だが、メラニンは正常に作られているため、通常は瞳の色に影響が現れることはない。
この映像をよく見ると、目が赤っぽく見えるのでもしかするとアルビノなのかもしれない。
通常のスティンガレーの体色は、茶色~灰色をしているそうだ。
近縁には「人間の活動による初の絶滅種」も
スティンガレーはオーストラリア東部の海では一般的に見られるエイで、ニューサウスウェールズ州では少なくとも6種のスティンガレーの生息が確認されているという。
アカエイよりも丸みを帯びた体盤や吻部が特徴で、尾の部分にはトゲがある。エビなどの甲殻類や、ゴカイやイソメなどの多毛類を好んで食べるという。
今のところ個体数は豊富なため絶滅危惧種に指定されているわけではないが、生息域ではエビトロール漁船や地引網による混獲が問題となっているそうだ。
かつて近縁種であるジャワ・スティンガレーは、乱獲と生息地の喪失など、「人間の活動によって」絶滅したことが確認された最初の海洋魚となった。
この種は1862年にインドネシア沖で捕獲され、ジャカルタの魚市場に出回ったのが、最後の目撃例とされている。
これ以降160年以上にわたって目撃例がなく、国際自然保護連合(IUCN)によってその絶滅が宣言されることとなった。
日本にもいた「白いエイ」
コモン・スティンガレーの全長は、通常50cmを越えるという。今回の個体のサイズがどのくらいかは、映像から判断するのは難しいが、動画の中でジュールズさんは「小さい」と言っているので、まだ若い個体だったのかもしれない。
ちなみに、日本でも2023年9月に白いアカエイが発見されたことがある。この時は浜名湖で発見され、体験型水族館「ウォット」[https://ulotto.entetsuassist-dms.com/]で一般公開されている。
浜名湖方面へ行く機会があったら、ぜひこの白いエイに会いに行ってみよう!
References: Watch A Gorgeous White Stingaree Swimming Along The Seafloor[https://www.iflscience.com/watch-a-gorgeous-white-stingaree-swimming-along-the-seafloor-79101]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。