
2025年3月28日、ミャンマー中部を襲ったマグニチュード7.7の大地震の瞬間、地面がまるで引き裂かれるように動いていく様子が監視カメラに記録された。
この映像は、断層が実際に動く様子をとらえた世界初の事例だという。
最初に地面が揺れた後、画面右奥の地面がそのまま手前にスライドしたのだ。まるで地球そのものが生きていているかのようなこの映像は、自然現象の脅威を如実に物語っている。
目に見えてわかる地面の動き
2025年3月28日に発生したミャンマー地震は、ミャンマーを南北に縦断するサガイン断層が約460kmにわたって一気に動いたことによって発生し、広範囲に被害をもたらした歴史的な大地震である。
マグニチュード7.7の地震は、ミャンマー国内のみならず、タイ、インド北東部、中国南部、バングラデシュにまで到達し、多くの人命とインフラを奪った。
2025年3月28日、12時46分頃、ミャンマー中部の都市タージ(Thazi)付近で監視カメラが記録した映像には衝撃の瞬間が映し出されていた。
地震の前はしっかりと門が閉まっているのが確認できる。
注目すべきは画面右側の茶色っぽい草の生えた部分や道路部分だ。
地震発生時に中央の門が開いた直後、右側の地面全体が、手前に押し出されるようにスライドしているのがわかる。
今回の地震では、広範囲で地面のずれが確認され、最大で6mも左右に動いたという。
サガイン断層は、ミャンマーを南北に貫く長さ約1,200kmの活断層で、インドプレートとビルマプレートの境界に位置する。
過去にも大きな地震を繰り返しており、今回のような横ずれ型(横方向に地盤が動く)地震を引き起こす特徴を持っている。
断層とは、地殻の中で岩盤がずれる境界線のようなもの。
今回、それが地表にも現れ、私たちの目で“見える”形になったのだ。
今回の断層運動は、通常の地震よりも速い「スーパーシア地震(超せん断地震)」であった可能性が専門家から指摘されている。
これは断層の破壊速度が地震波の速度を上回る珍しいタイプの地震で、揺れが強く、破壊力も大きくなる傾向がある。
今回の映像が記録された背景には、このような異常な断層破壊の挙動が関与していた可能性もある。
この映像は、断層のずれがどのように地表に現れるのかを、初めて明確に示したものとして、科学的にも極めて重要な記録である。
それと同時に地球の生命を感じさせるもので、改めて畏怖の念を抱かせるものだ。