
アメリカ・フロリダ州で、まるで映画のような大脱走を果たした猫が6日後に自力で自宅に戻ってきた。
ジョージという名のオス猫は、動物保護施設での去勢手術の直後、まだ麻酔が残っている状態で、鉄製のケージから抜け出し、高さ約2.4mのフェンスを乗り越えて森へと消えた。
ジョージはそれから6日後、約4.3km離れた自宅の敷地内に戻ってきたのだ。
一時は絶望視されたジョージだったが、奇跡の帰還は施設スタッフや地域住民に大きな感動をもたらした。ジョージは元々地域の人々にかわいがられていた野良猫だったのだ。
去勢手術を受けた直後の大脱走劇
アメリカ・フロリダ州レイクランドにある「SPCAフロリダ」という動物保護施設に、ジョージという名のオスの猫が、去勢手術のため一時的に預けられた。
ところがジョージは手術後、麻酔が切れていない状態で、ケージを自力で開けて逃走。高さ約2.4mのフェンスをよじ登り、森の中へと姿を消したのだ。
施設の広報担当であるランダ・リヒターさんによると、「彼は自力でケースをこじ開け瞬間、一瞬で姿を消しました」と語っている。
ジョージの世話をしていたボブ・ビーソックさんも、「目にもとまらぬ速さだった。麻酔が残っていたはずなのに信じられない」と驚きを隠せなかった。
地元で愛されたジョージ、心配の声が広がる
ジョージはもともとレイクランド内のロマ・ベルデ」という地域で地域住民たちにかわいがられていた野良猫(地域猫)だった。
特にジョージをかわいがっていた住民の1人、ボブ・ビソックさんは、ジョージを自宅に迎えることに決め、去勢手術のために動物保護施設へ連れて行った。
ジョージの脱走を知って地域住民たちに衝撃が走った。
その後、施設のスタッフと地域住民による懸命の捜索が続いたが、姿は見つからなかった。
6日後、ジョージは自力で自宅に戻ってきた!
ところがその6日後、ジョージはビソックさんの家の敷地内に姿を現したのだ!
行方不明になったSPCAフロリダの施設からは、直線距離で約4.3km離れていた。
「そこには、まるで大冒険を終えて帰ってきたかのように、椅子の上でくつろぐジョージの姿があった」と、ビソックさんは語る。
ジョージは少し痩せており、空腹の様子だったが、けがなどの異常は見られなかったという。
その後ジョージは、長い旅の疲れを癒やすかのようにぐっすりと眠りについた。
ジョージがたどった道のりは、猫にとっては決して容易なものではなかった。
途中には複数の交通量の多い道路があり、吠えかかる犬のいるエリアや、ビクトリア湖の広大な岸辺も通過する必要があった。しかも、彼は手術直後というハンデも背負っていた。
施設のリヒターさんは、「ジョージが4km以上の距離を自力で移動し、無事に戻ってきたという知らせを聞いて、本当に嬉しかった」と喜びを語っている。
ビソックさんは「もし自分だったらウーバーを呼んで帰るところだが、ジョージにはその手段がなかったからなー」と冗談まじりに語っているが、ジョージの帰宅を誰よりも喜んでいるのは言うまでもない。
この一件に関して、猫行動学の専門家は「猫は進化の過程で、自力で帰る能力を獲得してきた」と説明している。
帰巣本能の鍵は、視覚的な目印(ランドマーク)、嗅覚によるにおいの記憶、そして地磁気(地球の磁場)といった複数の要素が組み合わさっていると考えられている。
また、「猫は人間に強い愛着を持つ動物である」という。クールな印象を持たれがちだが、実際には大切な人のもとに戻ろうとする情熱を秘めているのだ。