
スイス・ベルン州で、車のスピード違反を監視するカメラに記録されたのは、なんとマガモだった。
さらには7年前、まったく同じ場所で同じ時期、同じスピードでマガモがスピード違反を記録されており、同一個体である可能性もあるという。
この区域の制限速度は時速30kmだが、マガモはなんと時速52kmで低空走行していたのだ。結構なスピード違反だ。
スピード違反で監視カメラに記録されたマガモ
ベルン州ケーニッツの警察が、速度違反を取り締まるスピード監視カメラ(オービス)に記録された違反車の画像を確認していたところ、思わぬ犯鳥が写っていた。
2025年4月13日に、制限速度、30kmの道路を時速52kmで走行していたのは、車でもバイクでもなく、空を飛ぶマガモのオスだったのだ。
7年前にも同じ日に同じ速度で記録されていた
実はマガモが監視カメラにとらえられたのはこれが初めてではない。
警察によれば、ちょうど7年前の4月13日、同じ場所で、まったく同じ時速52kmで飛行しており、スピード監視カメラに記録されていたという。
もちろんマガモに罰則が科せられることはないが、オービスは速度に反応して自動的に撮影を行う仕組みであるため、違反として記録されてしまったようだ。
ケーニッツ自治体が発信した公式Facebook投稿では、「まったく同じ場所、同じ日付、同じ速度でマガモが再び速度違反の記録を残した」と報告されている。
これを受け、現地の警察監察部も「マガモが常習的にスピード違反をすることに驚いた」とジョークを含んだコメントを出している。
警察は「画像は正真正銘の記録」と断言
SNSでは一部、「これはフェイクニュースではないか」「写真が合成されたのではないか」と疑う声も上がった。しかし、ケーニッツの警察監察部はこの疑念を否定している。
装置の計測機能は、スイス連邦計量研究所(METAS)によって毎年正式に校正・検査が行われており、記録された写真も封印処理がされていて改ざんは不可能だという。
警察側も「これは遅れたエイプリルフールの冗談でもフェイクニュースでもない」とし、純粋な偶然による出来事であることを強調した。
マガモはどこまで速く飛べるのか?
マガモは北半球に広く分布する渡り鳥で、体長はオスで約60cm、体重は1~1.5kg。都市公園や川など身近な水辺でもよく見られる。
今回レーダーがとらえたマガモは、大幅に制限速度を上回る時速52kmで飛行していたが、実のところこれはマガモにとって“本気”のスピードではない。
マガモは飛行能力が高く、巡航速度で時速65~80km、条件が整えば時速90km以上で飛ぶこともできる。見た目に反して、なかなかの高速飛行の持ち主なのだ。
しかもマガモは、シベリアやロシア北部などの寒冷地で繁殖し、日本やヨーロッパなどの温暖な地域に越冬する渡り鳥としても知られている。渡りの際には、一晩で数百kmを移動することも珍しくない。
こうした生態から、もし今回の違反マガモは、同じルートや地点を数年ごとに繰り返し飛んでいたと考えられる。
つまり、7年前とまったく同じ場所で再びレーダーに捕まったのも、マガモの強い帰巣本能によるもので偶然ではないのかもしれない。
にしても、スイスの住宅街を低空で高速飛行するあたり、マガモの中でも都市生活にも順応した、まさに“空のアウトロー”タイプとみた。
また、マガモの寿命は5~10年とされているので、同一犯である可能性も十分に考えられるそうだ。
いずれにせよ、スイスのスピード監視カメラはマガモですら速度違反をしたらしっかりと記録される優れた装置であるということはわかった。
マガモがなぜか低空飛行して自動車と競い合うように飛行していたのかが知りたくなってきたぞ。マガモの闘争心に火が付いたのか?