ヒューマノイドロボット同士がボクシング、初の格闘イベントに向けその戦術を披露
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 世界初のロボット格闘イベント前に学生たちの前でアグレッシブな戦術を披露しているのは、もちろんヒューマノイドロボットである。

 このパフォーマンスは、中国のロボット企業ユニツリー(Unitree:宇樹科技)が、杭州市の学校で行ったものである。

 この日登場したボクサー姿のロボットたちは、25日開催の世界初のロボット格闘イベントを間近に控えており、この実地テストを兼ねていた。

 高度な技術がうかがえる繊細な動作や、ロボットならではの持久力を生かす戦略など、学生たちも思わず見入ったロボットたちの戦いぶりを見てみよう。

ヒューマノイドロボット同士がボクシングを披露

 2025年5月21日、杭州市の学校の体験授業で、ボクシングのコスチュームをつけたユニツリーのヒューマノイド(人型ロボット)が、積極的な戦闘スキルを披露した。

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 学生たちが見ている前で、ロボット2体がストレートパンチ、フック、サイドキックのほか転倒後の素早い立ち上がりまで見せたという。

 実はこの授業、世界初のヒューマノイドロボットを対象とした格闘イベントに先立ち行われたもの。

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 2体はそのイベントに出場予定の選手で、この模擬試合は単なるデモンストレーションではなく、重要なテストも兼ねていた。

 さらに授業では同社のロボットが40分間のジョギングを披露。耐久性まで披露し、学生たちの声援を集めた。

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試合当日は新たなコントロールモードを公開

 この戦いぶりを見守った学生からは興奮気味のコメントも。

すごい。このロボットたちがどんな風に戦うのか、とても興味があります(Ni Zhangyaoさん)」

 そんな学生たちの反響にユニツリー・マーケティングチームメンバーのチュー・ヤン氏が、こんなエピソードを明かした。

ロボットは人間と機械の共同作業で戦います。ロボットの制御方法は3つありますが、最も一般的な方法は、単純にコントローラでロボットの動きを制御することです。25日の試合では、新たに開発された2つのコントロールモードを公開する予定です。

どんな動きをするかは当日試合を観ればわかるでしょう

 ちなみに下は5月21日公開されたユニツリーのロボット同士のボクシング。上の動画よりキレよく見える。

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 なにより衝撃なのは、多少パンチやキックを受けてもなかなか倒れないこと。それからノックダウンした後の独特な立ち上がりかたとその速さだ。ユニツリーのロボットは前から紹介しているけれど、進化が加速してる気がする。

データ収集で最適なのはモーションキャプチャ

 開発者たちは、このようなイベントが、ヒューマノイドロボットの物理的な世界への理解をうながし、相互作用に役立つ、と語る。

 人間の動作データで訓練されたロボットは、柔軟性と協調性を高めることができる。 そのデータが多ければ多いほど、汎化性能が向上し、人間の動作を高精度に再現できるようになる。

 そのため量産化に向け重要な課題は、訓練に必要な高品質なデータを低コストで取得することだ。

 そうしたデータを集める方法は3つあり、リモートコントロール、モーションキャプチャ、および大型モデルに分類される。

  中でも、モーションキャプチャは、人間の動きをヒューマノイドロボットに直接転送でき、高精度で包括的なデータ収集が叶う、という利点から、現在のヒューマノイドロボットに最適なデータ収集方法だという。

「まるで映画!」立ち上がりの速さに驚く声も

 「当社のロボットの俊敏性はコア技術の進歩。特にアルゴリズムの飛躍的進歩によるもの」と説明するユニツリーは、ロボット対人間の試合も動画で公開している。

 こちらは2025年4月10日に公開されたもの。

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 人間相手に戦うロボットといった一連の映像に、度肝を抜かれた海外ユーザーたちがこんなコメントを寄せている。

  • SFドラマ「トワイライトゾーン」は60年以上前にロボットボクシングを予言していたわけだ
  • 未来かよ!生き残りをかけたロボットと人間の戦いにしかみえない
  • 映画「リアルスティール」だ
  • 「ロボットファイトのライブストリーミング始めます。お楽しみに!」
  • で、2070年には人間のボクシングをロボットが観戦するんだろう?
  • 立ち上がりの速さよ。皮肉でなくガチですごい。人間の操作とはいえ二足歩行ボットがこんなにすぐに起き上がり、安定することに仰天した。素晴らしい技術力だ
  • 人間の身体がいかに高度に進化したものかがよくわかる
  • お互いに打ち負かそうとするなんてロボットには苦しみになるのでは?

25日のイベントでは圧倒的なパフォーマンスのチームが優勝

 中国国営の国際ニュースネットワークCGTNによると、中央広播電視総台(CMG)主催のヒューマノイドロボット格闘イベントは、予定通り杭州で25日に開催された。

 出場したロボット選手は、人間の競技と同じように、消耗が激しいうえに強烈なパンチなどにさらされることを想定し、打撃に耐えるタフさと持久性を高めたものだったという。

 なお優勝したのは「AI Strategist」というチーム。

 このチームは、オペレーターLu Xin 氏の指揮のもと、従来の戦闘ロボット競技とは一線を画す、高度なAI戦略とロボット制御技術を駆使。対戦相手を圧倒するパフォーマンスを見せた点が評価された。

 エキシビションマッチではユニツリーのロボットが強烈なパンチやキックを繰り出し、倒されたうつ伏せの姿勢から得意のアクロバティックな立ち上がりを見せたりして大いに盛り上がったもよう。

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 気になる格闘イベントの動画はこちら。

さっそく公開されていたので取り急ぎ貼っておくよ。

[動画を見る]

 にしても、ここ最近のロボットの機敏さと安定性には目を見張るものがある。最初のイベント直前の映像は、正直パンチもキックもゆるゆるで「あえて油断させる作戦?」とも思ったが、オペレーターによるのかも。

 イベント当日のパフォーマンスも、これも全力じゃなく実は7割程度かも?とか想像したり。というか、ロボット同士のスポーツ競技がこんなに早く現実になるとは。この勢いだとSFだったロボットものもフィクションじゃなくなってきそう。

References: Chinese humanoids demonstrate aggressive combat skills ahead of world-first robot boxing[https://interestingengineering.com/innovation/china-humanoid-robot-perform-boxing] / Humanoid robots showcase combat skills ahead of world’s first robot boxing match in Hangzhou[https://www.bastillepost.com/global/article/4870442-humanoid-robots-showcase-combat-skills-ahead-of-worlds-first-robot-boxing-match-in-hangzhou]

本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者向けにわかりやすく再構成し、独自の視点で編集したものです。

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