
飼い主が掃除機をかけはじめると犬は床に散らばっていた自分のぬいぐるみを1か所に集めた。飼い主が掃除しやすくするためだ。
なんという思いやりあふれる犬だろう。
アメリカ・テネシー州に住むマーガレット・アン・ニールさんは、コーダと名付けたこの犬と暮らしてから9年になる。
コーダは生後数週間で道路に捨てられていた犬で、友人が救助し、それをニールさんが譲り受け、彼女が大学時代からずっと一緒に暮らしている。
道路に捨てられた子犬との出会い
テネシー州ジャクソンに住むマーガレット・アン・ニールさん(28歳)は、9年前、大学時代に1匹の子犬を家族にした。
そのオスの子犬は元保護犬で、当時生後わずか数週間で尻尾が折れた状態で道ばたに捨てられていたところを、ニールさんが所属する学生クラブの友人に保護された。
クラブのグループ用Facebookに「引き取ってくれる人を探しています」と投稿されたその子犬を見た瞬間、「この子は私の運命の犬だ」と感じたというニールさん。
以来、コーダはニールさんの人生のすべてに寄り添ってきた。大学と大学院の卒業、マイホームの購入、起業、結婚と、どんなときも彼女のそばにいた。
「100回分の人生を一緒に生きてきたような気がします。年を重ねて顔の毛が白くなっていくたびに、100年一緒にいても足りないと思わされるんです」とニールさん。
掃除機をかけると自分のおもちゃを一か所にまとめる犬
そんなコーダが見せたある行動が、2025年5月25日、ニールさんのTikTokアカウント(@margaretanneneal)に投稿され、多くの人の心を打った。
動画には、「私が掃除を始めたら、うちの犬が自分のおもちゃを全部まとめて一カ所に集めて、私が気づくまでそのそばに立っていた」という字幕が重ねられていた。
画面の冒頭には、掃除を終えた後、ニールさんの膝に頭を乗せて甘えるコーダの姿が映し出されている。
その後リビングの中央には、きれいにまとめられたぬいぐるみが山のように並べられている様子が映る。
ニールさんはこの投稿に「誰が何と言おうと、この子は完璧なの」とコメントし、動画は14万以上の「いいね」を獲得した。
「みんな自分の犬が最高だって思ってるけど、それでいいんだよ」「見ているだけで泣きそうになった」「うちの犬にも見せたい」など、コメント欄は感動と共感の声であふれた。
これまで教えたことはなく、今回初めての行動
コーダにこれまで掃除中はおもちゃを片づけるようにしつけたことは一度もないという。そしてコーダがこのような行動をとったのは今回が初めてだったそうだ。
だが以前から、コーダが観察力に優れた思いやりと共感力に溢れる賢い犬であることは、ニールさんも感じていた。
ニールさんは基本的に在宅ワークだが、「さあ仕事だよ」と声をかけると、コーダはすぐに仕事部屋に駆け付け、デスクのそばに座るという。自分のお気に入りのおもちゃを持ってくることもあるそうだ。
大昔から人と共に暮らし、力になってくれた犬は社会性が高く、人間の気持ちに敏感だ。悲しいときはそばに寄り添い、うれしいときは一緒に喜んでくれる。
犬たちは、常に飼い主を助けたいと思う気持ちを持っていることが、2020年のアリゾナ州立大学の研究で明らかになっている。
助けたいと思っても助け方がわからない犬もいるが、賢い犬はすぐにその方法がわかるのだ。
我々もそんな尊い犬に値する人間になれるようにがんばりたいね。