
果物の王様と言われるドリアン。だがその一方で悪魔のフルーツとも呼ばれている。
食べればおいしいらしいのだが、あまりの臭さに、原産国である東南アジア諸国の多くが、ホテルや公共の交通機関などへの持ち込みを禁じている。
だがそんなこととはつゆしらず、ホテルの部屋へドリアンを持ち込んでしまった観光客がいた。
彼女はホテル側から「ニオイが取れない」として、高額な清掃料を請求されることになってしまったという。
ドリアンをホテルに持ち込んだら2万円請求された!
2025年5月26日、シンガポールを旅行した中国人女性が、中国版Instagramの小紅書(XHS)にこんな写真を投稿した。
どうやら宿泊したホテルからのメッセージのようで、そこには次のように書かれている。
私たちのハウスキーパーは、あなたの客室でドリアンのニオイを確認しました。客室の清掃のため、200シンガポールドル(約22,000円)を請求します
実は宿泊施設や旅客機など密室となる場所では、ニオイの強烈なドリアンの持ち込みそのものが禁じられているケースが多いのだ。
だが女性はそんなことはまったく知らず、友人と散策の途中で見つけた屋台でドリアンを購入。
近くに座って食べられる場所がなかったので、深く考えずに自分のホテルの部屋に持ち帰り、そこでドリアンを味わったのだという。
タクシーで帰る途中、友人から箱から強いニオイが漂っていると言われたので、ラップでしっかりくるみました。
運転手さんがドリアンのニオイについて何か言って来るかと思ったのですが、彼は私たちの会話には反応しませんでした
その翌日、彼女たちが観光に出かけてホテルに戻って来ると、部屋にこのメッセージが置いてあったのだそうだ。
びっくりした彼女は、SNSで情報収集を開始。
彼らの多くは私と同じで、ホテルの部屋にドリアンを持ち込むことが禁止されていることを知らなかったのです。
中には持ち込む前にホテルのスタッフが気づいて止めてくれ、清掃料金を払わずに済んだケースもありました
彼女は知らなかったことをホテル側に伝え、清掃料を少し負けてくれるよう交渉し、ホテル側と口論になった。
だがホテル側の答えはあくまで「NO!」だった。部屋は専門の業者による清掃が必要な状態で、ニオイが残っているため数日間は使用できないからだ。
さらに他のホテルなら300~500シンガポールドル(約55,000円)は請求されるそうで、200シンガポールドルなら安い方だと言われたという。
現地でドリアンを食べるなら注意しよう
このニュースを見たネット民たちは、ドリアンについて様々な意見を述べている。
- これは一般常識だし、シンガポールのホテルなら持ち込み禁止の看板があるよ
- 私はタイ出身だけど、ドリアンを持ち込めないのは当たり前。中にはマンゴスチンやジャックフルーツも禁止しているところがあるよ
- 40年以上アメリカに住んでいるけど、飛行機やホテルにドリアンを持ち込めないのは常識だと思ってた。台湾でも禁止だよ
- 私はデンマーク出身だけど、ドリアンの持ち込み禁止は知ってるわ
- 良いホテルならチェックインする時に教えてくれると思うけど
- シンガポールに何度も行ってるけど、そんな看板は見たことないよ
- ちゃんとしたホテルに泊まってる? バックパッカー向けの安宿じゃなくて?
- 常識じゃないよ。世界の大部分はドリアンがどんなものか知らないから
- ドリアンに限らず、ホテルの部屋でニオイの強いものは食べないのが一般的なマナーだと思う
- 彼女は他の観光客に警告しているじゃない。素晴らしい思い出になると思うよ
国を挙げて「クリーン&グリーン作戦」なるものに取り組んでいるシンガポールは、ゴミのポイ捨てや公共の場所での飲食にはもともと厳しいのだが、ドリアンに関してはタイやマレーシアなどでも禁止にしているホテルは多い。
飛行機はもちろん、バスや電車など公共の交通機関にも持ち込めないので、観光客は屋台なりフードコートなり、買ったその場で食べるのが無難だと思う。
そもそもドリアンってどんなフルーツ?
これだけ物議をかもすドリアンとは、いったいどんなフルーツなのだろうか。
病みつきになってしまった人の言葉を聞くと、「いろんなフルーツの良いとこどり」だとか「贅沢でまったりした甘さと舌ざわり」とか、へえ、そんなにおいしいなら食べてみたい!と思わせるような感想が羅列されていたりする。
日本ドリアン普及協会[https://durian-japan.com/]によると、「濃厚なカスタードクリームにブランデーを少し垂らしたような、感動的にまったりとしたフルーツ」なんだそうだ。
だがその一方で、「臭い」「耐えられない」「お世辞にも美味しいとは言えない」といったネガティブな感想も多数出ている。
具体的に表現してもらうと、下水か嘔吐物か腐った卵、またはそれが全部混ざった感じとか、想像できる範囲を超えたニオイを醸し出しているらしい。
ドリアンの持つ独特なニオイは、主にエステルやジエチルスルフィド、プロパンチオール、硫黄化合物によるものである。これらは口臭のもととなったり、プロパンガスのニオイ付けに使われたりしている化合物だ。
ドリアンのニオイは果実が熟す過程で生成され、動物を引き寄せて食べてもらうことで、種子を伝搬させるための進化的適応と考えられているそうだ。
まあ、特に外国人の中には、納豆もドリアンも同レベルという人もいるし、ダメな人には受け入れがたいニオイなのだろう。好きな人は気にならないのかもしれないが。
というか、自分はあまりドリアンのニオイを気にしたことがないので、個人差は確かにあると思う。
東南アジアの屋台やスーパーに行くと、可食部分を取り出して、ラップでぐるぐる巻きにしたものが普通に売っている。
それでもその周囲にはニオイがダダ洩れなので、苦手な人はやっぱり息を止めて通り過ぎるのかな。
実は新鮮なドリアンはあまり強烈なニオイがしないという説も。追熟の過程でどんどん悪臭に近づいていくんだそうだ。
また、最近はあまり臭くない品種も開発されているみたいだ。ドリアンにはいろいろな品種があるので、チャレンジャーなら食べ比べてみるのも楽しいと思う。
2025年になって、石垣島で栽培へのチャレンジが始まったらしく、いつか国産の新鮮なドリアンが食べられる日が来るかもしれないね。
件の女性は、最後に次のように語っていた。
私はルールを破るつもりはありませんでした。外国に来て、ルールを試すような愚かなことはしません。
今回の私の経験が他の観光客の役に立ち、200シンガポールドルを節約できればいいなと思います
References: Chinese tourist in S’pore allegedly fined S$200 for bringing durian into hotel, says she’s unaware of the rules[https://mustsharenews.com/tourist-fined-durian/amp/]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者向けにわかりやすく再構成し、独自の視点で編集したものです。