
南米、チリ北部の砂漠地帯にある警察署に、かわいらしい新隊員が加わった。母親を亡くして孤児となったラマの赤ちゃん「ミゲリート」だ。
ミゲリートは警察官たちに引き取られ、今では制服姿でパトロールにも同行している。
警察官たちを癒し、住民たちを笑顔にし、地域に平和をもたらすべく、大活躍中だ。
孤児となった赤ちゃんラマを警察署が引き取る
チリ北部タラパカ地方は乾燥した砂漠地帯で、広大な土地に点在する国境警備所では孤立した環境で任務にあたる警察官も多い。そんな国境付近の警察署に、孤児となったラマ(リャマ)の赤ちゃんが保護された。
母親が出産直後に亡くなり、世話をする人がいなかったところを生後5日目で警察署で引き取ったのだ。
警察署にやってきたラマは、「ミゲリート(Miguelito)」と名付けられ、警察官たちがミルクを飲ませながら、皆で大切に育ててきた。
現在、生後3か月になったミゲリートはすくすくと成長し、署内を元気に歩き回っている。
制服姿でパトロールや勤務にも同行
ミゲリートには名前入りの特製警察制服が用意されている。制服姿で堂々と署内を歩き回り、警察官とともにパトロールにも同行している。
「今では私たちの大切な仲間であり、チームの一員です。一緒にパトロールを回り、勤務にも加わり、食堂にも一緒に行きます。どこに行くときも一緒です」と警察官たちは話す。
巡回先でも、その可愛らしい姿で住民たちの心を和ませている。
かわいさで地域の癒しと平和を担当
ミゲリートは今や、署内の癒し担当として欠かせない存在となっている。警察官たちに寄り添い、住民たちを和ませながら、地域の平和を見守っている。
もしタラパカ地方の山岳地帯で悪さをしようものなら、このラマ警察官がすぐに駆けつけてくることだろう。
アンデス地方で古くから飼われていたラマ
ラマ(リャマ)は、南米アンデス地方原産のラクダ科の家畜で、体高は約1.7~1.8m、体重は100~150kgほどに成長し、長い首とふさふさとした毛が特徴である。
性格はおだやかで人懐っこく、群れで生活する社会性の高い動物だ。
草や低木などの植物を食べ、乾燥地や高地などの過酷な環境でもよく適応する。
標高3,000mを超えるアンデス山岳地帯でも元気に暮らしており、牧草地が乏しい地域でも飼育が可能である。
ボリビアやペルーの山岳地方では古くから家畜として多く飼われており、荷物の運搬や、毛や皮を衣類に用いられてきた。肉を食べることもあるが、儀式などの特別な時以外はあまり食べられてはいない。
チリ北部のアンデス山脈周辺や乾燥地帯でも古くからラマは飼育されており、農村地域の暮らしや文化に今も欠かせない存在となっている。