
緑の服と帽子、バックルのついた靴を履いて、金貨の詰まった鉄の大釜(cauldron)を抱えた小人。アイルランド土着の妖精、レプラコーンだ。
その本性はイタズラ好きで、人間にもしょっちゅうイタズラを仕掛けてくる。
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また、土中に埋まっている宝物のありかを知っており、捕まえることができればその場所を教えてくれるのだそうだ。
だもんだから、宝欲しさに人間が乱獲して数が減ったのか、あるいは他の生き物同様に暮らしていくのに広大な自然が必要だったのか。現在、アイルランドには、「レプラコーンの聖地(サンクチュアリ)」があるのだそうだ。
【保護された妖精たちの棲みか】
アイルランドの東海岸沿い、イギリス領北アイルランドとの国境近くに、カーリングフォードという小さな町がある。この町を起点・終点として廻る環状のトレイル(ハイキングコース)と、近くのスリーヴ・フォイ山が、レプラコーンの聖地だ。
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現在のところ、レプラコーンはアイルランド全土で236人が存在しているそうだ。
トレイルは、2010年にEUの「生息地指令」を受けた。これによって、この地の植物相と動物相、そしてそこに生息する妖精たちも保護されることになったのである。
「アイルランドの最後のレプラコーン」と書いてある標識
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imege credit: Eric Jones [CC BY-SA 2.0]
【スリーブ・フォイ・ループ・トレイル】
トレイルの全長は約9km、標高差は270mある。最初の登りが一番きつく、その後はだいぶ緩やかだ。一周するのに、平均で2時間半ほどかかる。
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imege credit: Oliver Dixon [CC BY-SA 2.0]
レプラコーンの聖地であるとはいえ、サファリパークではないので、確実にレプラコーンと出会えるという保証はない。だが、例えレプラコーンを見つけられなかったとしても、徒労に終わる心配はないとのことだ。
トレイルを取り巻く自然は立ちすくむほど美しく、なぜ妖精がこの地を住処に選んだかがよくわかるそうだ。アイルランドの自然に抱かれて、風景を堪能するだけでも、十分に価値がある。
そしてまた、ハイキングの途上で、2~3頭の羊に行き会うことも珍しくないそうだ。
ハイキングに出かける際には、適切なハイキングの装備、特に歩きやすい靴と、雨具の準備が必要だとのことである。
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imege credit: Eskling [CC BY-ND 2.0]
【カーリングフォードの町】
ハイキングは体力的にちょっと…という人は、カーリングフォードの町を散策することもできる。中世の面影を残している美しい町だ。
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Carlingford. Castles, Oysters and Leprechauns.
それだけではない。この町は、それ自体レプラコーンと関わりがあるのだ。
1980年代に、地元のビジネスマンのPJ.オ・ヘアという人が、焚き火の跡と思われる焼けた地面を発見した。そしてその脇には、小さな帽子とジャケット、そしてポケットに金貨がたくさん入ったズボンが落ちていたのである。
この事件がきっかけとなって始まったのが、カーリングフォードのナショナル・レプラコーン・ハントだ。このイベントでは、地元の人々が一斉に山へ入り、レプラコーンを探して歩く。
しかし、見つけたという話は今のところなさそうだ。ひょっとしたらレプラコーンの方でも知っていて、この日だけはどこか遠くへ出かけてしまうのかもしれない。
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National Leprechaun Hunt 2016 | Carlingford
written by K.Y.K. / edited by parumo
記事全文はこちら:ファンタジーな世界観が楽しめる!アイルランドの妖精「レプラコーン」の聖地で妖精を探そう! http://karapaia.com/archives/52272811.html
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