対物性愛は共感覚と関連性が?「浮き輪のおもちゃ・石橋・自由の女神」人外に恋した3人の物語。


 愛する対象は人それぞれだ。一般的に多くの人は同じ人間に対し恋愛感情を抱くが、人間や動物など生命のあるものにではなく、物に愛情を抱き、性的に惹きつけられる人も存在する。


 これは対物性愛と呼ばれていて、その対象はおもちゃから家電、建造物など様々だ。

 なぜ人ではなく動物でもなう物質に恋愛感情を抱いてしまうのか?

 人間が嫌いになるようなトラウマ経験によるものという説もあれば、共感覚(シナスタジア)により物を人間と同一視していまうという説もある。まあとにかく多様性の1つの形ではあるのだろう。

 ここでは浮き輪のおもちゃ、石橋、自由の女神(からのシャンデリア)に恋した3人の物語を見ていこう。
【浮き輪のおもちゃに恋する男性(アメリカ)】

 アメリカ、カリフォルニア州に住むマークさん(27歳)は、良い教育を受け話術にも長け、フルタイムの仕事を持ってしっかりと地に足がついた生活を送っている。

 しかし、彼が愛する対象は普通とはちょっと違う。マークさんは、空気を入れて膨らませて遊ぶプール用おもちゃに恋しているのだ。コレクターとしておもちゃ集めに夢中になるのではなく、おもちゃに恋愛感情を抱いているのだ。

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I Love My Inflatable Animals | My Strange Addiction

 マークさんの側には、ドラゴンのドレカ、サメのサミー、グリフィンのギャビンなどそれぞれ名前が付けられたプール用おもちゃがある。これらのおもちゃに恋するようになったのは、マークさんが14歳の時だったそうだ。

普通に人ともデートをしてみたよ。でも、相手にも生活があるしずっと互いに側にいることができないだろう?もし、僕が辛い時を乗り越えなきゃならないとしたら、相手にはしっかりとハグして寄り添っていてほしいんだ。
このプール用おもちゃならそれが可能さ。

 しかし未だこれという運命の相手にはまだ巡り合っていないようで、「心のままに任せている。どれを見ても可愛いと思うし、一目ぼれしちゃうんだ」とマークさんは話す。

【橋と結婚した女性(オーストラリア)】

 オーストラリア人のジョディ―・ローズさんの結婚式のビデオは、一見他の人たちの結婚式と変わりないように見える。しかし、彼女の隣には人間の新郎の姿はない。

 ジョディ―さんが立っている橋が新郎なのだ。

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Woman falls in love with 'strong and sturdy' bridge and decides to marry it

 この橋はフランス南部にある14世紀に造られた石の橋である。ゆえに新郎の年齢は約600歳だ。結婚式には14人のゲストが出席し、近隣のサンジャンドフォス市の市長からも祝福を受けたという。

 その時を回顧して、ジョディ―さんはこのように話している。

とっても美しく、ワクワクした気持ちになりました。結構ナーバスにもなっていたし、まさに花嫁のような気持になれたわ。
夫(橋)は、とってもハンサムで強くて頑丈よ。この橋こそ、私が繋がれるもので、そう思わせてくれる根拠を(夫は)与えてくれるの。


【自由の女神からシャンデリアに恋した女性((イギリス)】

 イギリス人アマンダさんのケースは、ニューヨークにある自由の女神像だった。

 初めて自由の女神像を訪れた時、アマンダさんは体の中が溶けるような感覚を味わい、胸がドキドキし、口を閉じることができず、自分の体重も感じられなくなった。

 初めて、自由の女神像の窓の内側部分に触れた時には、電気ショックを感じ、体全体がエネルギーで満たされた気持ちになったという。

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People Who Love Objects: Amanda Liberty

最初に恋した物は、ドラムキットだったんです。でもそれが愛とはわからず、「ドラムキットに恋している自分って何なの!?」と、ただ困惑してしまいました。

2番目に恋したのは、アメリカの国旗でした。あの星とストライプが描かれたお馴染みの旗です。でも、とってもバカバカしくて子供っぽく感じたからすぐに他の物に気持ちが移ってしまいました。

 そして、自由の女神に恋に落ちたわけである。一旦ひとつの物に恋に落ちれば、アマンダさんの愛は真剣なものとなり、浮気をすることはない。
アマンダさんは、法的に名字を「リバティ」に変更し「リバティ・アマンダ」となった。

 しかし、その後アマンダさんは運命の相手を知ることになった。イギリスのアンティークショップで、シャンデリアに一目ぼれしたのだ。

シャンデリアを見た時に、「絶対連れて帰らなきゃ」と思い購入しました。家に帰ってすぐ包装を解いて、膝の上にのせてみたんです。

この時、特別な繋がりを感じました。バチっと火花が散ったような感覚になって、「オーマイゴッド!何が起こったの!?私は自由の女神に恋していたのに。他の物を愛するつもりなんてないのに」って思ったんです。


 現在、アマンダさんの家にはたくさんのシャンデリアが飾られているという。アマンダさんは、その1つの「ルミエール」と名付けたシャンデリアと婚約したそうだ。

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33-Year-Old Woman Is Engaged to a Chandelier Named Lumiere

【対物性愛は共感覚と関連性があるとする研究家】

 性科学者のエイミー・マーシュ博士は、何十人もの人々に取材をし、オブジェクト・ラブ(物への愛)、つまり「対物性愛」に関する世界で唯一の研究を終えた人物だ。

 マーシュ博士は、実はこのような風変わりな関係は珍しくはないと言う。


 彼女の研究によると、物に恋するこの状態は、これまで定説とされていた、小児期のトラウマや過去の悪い人間関係とは無関係だという。

1つもしくは複数の物に対して性的、または愛情を含んだロマンチック志向を持つ人々は、非常に頑強で豊かで複雑な関係を築きます。結論としては、真実の愛は抑制できない強力なものであるということです。

 同博士は、共感覚(シナスタジア)を経験する人にとっては、物に恋することは非常に現実的だと述べている。

 人が物に対して感情的な価値を持っていると信じている限り、それがたとえエッフェル塔やベルリンの壁、もしくは魚眼の形をした穴のボタンであっても、関係ないのだ。

 そう、もちろん二次元だってね。

References:Object love: when people fall for pool toys, bridges, and the Statue of Liberty | Sunday Night/ written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:対物性愛は共感覚と関連性が?「浮き輪のおもちゃ・石橋・自由の女神」人外に恋した3人の物語。 http://karapaia.com/archives/52274637.html
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