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東南アジア・マレー半島原産のドリアンは、強い甘味を持ち、栄養豊富なため、国王が精力増強に食していたといわれており、王様の果物と言われていた。
それが転じて今は「果物の王様」と呼ばれているが、そのニオイは強烈で、世界一臭いフルーツ(あるいは食品)としても知られている。
現地ではおいしく食べられているが、ドリアンに馴染みのない国の人が食べたら、ファーストインプレッションは強烈なものとなる。
古くは17世紀から現代まで、そんなドリアンを食した西洋人が、その味わいを何とか表現しようと試みた20の食レポがまとめられていた。ドリアンを食べたことない人はこの食レポでその味を想像してみると楽しいかもしれない。
1.17世紀のフランス人キリスト教伝道者、ジャック・ド・ブールジュ
果肉は雪のように白く、その繊細な味わいはヨーロッパのすべての最高のフルーツを超えて、我々には近づきがたい領域に達している
2. 英「オックスフード食の大辞典(The Oxford Companion to Food)」
その匂いはジャコウネコ、下水、時間が経った吐瀉物、玉ねぎ、チーズなどと比較される。一方、インドネシアを訪れたとある旅人は、その果肉を食することは外科用の消毒綿を飲み込むのと大差ないと表現している
3. 3. フローマーズガイド(米旅行ガイド)マレーシア版
ほのかに甘く、強い麝香(じゃこう)の香りがする
4. 4. アメリカ人フードライター、リチャード・スターリング
その匂いを例えるならば、豚の糞、テレピン油、そして玉ねぎに運動した後の脱ぎたての靴下をトッピングしたものというのが最もふさわしい。はるか遠くに離れていても臭ってくる
5. 19世紀のアメリカ人紀行作家、ベイヤード・テイラー
これを食べるということは、自尊心を犠牲にするようなものだ
6. バンコクを拠点にするフードライター、ボブ・ハリデイ
ドリアンが好きじゃない人にとって、その匂いは何匹もの猫の死臭のように感じられる。だがドリアンの味わいがわかるようになるにつれ、匂いもまったく不快ではなくなる。むしろ魅力的だ。大型犬マスチフのように、よだれを垂らして待ち受けるようになる
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7. ラフガイド(英旅行ガイド)マレーシア、シンガポール、ブルネイ版
吐瀉物のような味のカスタード
8. アメリカ人フードライター、ロブ・ウォルシュ
腐った卵のような匂いに圧倒される。口に入れながら、吐き気を抑え込んだ
9. オーストラリア人博物学者エドマンド・J・バンフィールドの友人のコメント
自然界のすべての良いものがそうであるように、ドリアンもまた言葉では言い表せない。それは肉であり飲み物であり、ほかに類を見ない珍味であり、満腹になるまで貪り食っても、決して後悔することはないだろう。
これは自然界が手を尽くして生み出した、天地においてコルドンブルーなど打ち負かす食の芸術品である
(バンフィールドの1911年の著書『My Tropic Isle』より)
10. アメリカ人文化人類学者、マキシン・E・マクブリン
下水ガスの趣がある
11. アメリカ人シェフ&TV番組ホスト、アンソニー・ボーデイン
とろりとして刺激臭のあるフランスのチーズのよう……。
食後の口臭は、おばあちゃんの遺体とフレンチキスを続けた後のような匂いになるだろう
12. 19世紀のフランス人博物学者、アンリ・ムーオ
最初に食べたときは腐敗した動物の肉のように感じたが、その後4回、5回と試すにつれ、極上のアロマだと思うようになった(著書『Travels in the Central Parts of Indo-China: Siam, Cambodia, and Laos, During the Years 1858, 1859, and 1860』より)
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13. アメリカ人ジャーナリスト、ジェリー・ホプキンス
まるで屋外トイレでアイスクリームを食べているようだ
(著書『Strange Foods』より)
14. 19世紀のイタリア人探検家、ジョヴァンニ・バッティスタ・セルッティ
私個人としては、こんなに美味しいものは食べたことがないと言わざるを得ない。しかし、その特徴であり、胃腸の弱い人なら吐き気を催すであろう不快な匂いのせいで、誰もがこの奇妙な果実を楽しめるわけではない。
鼻の下に腐った玉ねぎを押し付けられたところを想像して欲しい。そうすれば、ドリアンの木が放つ耐え難い匂い、そして果実を切り開くとさらに強くなるその匂いの片鱗ぐらいは理解できるだろう
15. アメリカ人シェフ&TV番組ホスト、アンドリュー・ジマーン
どろどろに腐った玉ねぎの味がする
(TVシリーズ『Bizarre Foods』より)
16. イギリス人作家、アントニイ(アンソニー)・バージェス
トイレでラズベリー味のブランマンジェを食べているようだ
17. 19世紀のイギリス人博物学者、アルフレッド・ラッセル・ウォレス
全体的な印象としては、アーモンド風味の濃厚なカスタード。その中にときどきふわりとクリームチーズやオニオンソース、シェリー酒、その他の調和しない料理の風味を感じさせる
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18. 英ガーディアン紙ジャーナリスト、モニカ・タン
その独特の力強い存在感を克服し魅了されるか、さもなければ即座に拒絶して悲鳴をあげて逃げるか、そのどちらかしかない
19. シンガポール総督(海峡植民地総督)のコメント
腐肉入りのカスタード
20. 米ニューヨーク・タイムズ紙ジャーナリスト、トーマス・フラー
確かに、完熟したこの果実は動物の死肉のような臭いがすることは率直に認めよう。そして中世の武器のような見た目で、扱いづらいことも確かだ。
だが、その淡い黄色のクリーミーな果肉にかぶりつけば、ヘーゼルナッツやアプリコット、キャラメリゼしたバナナ、エッグカスタードのニュアンスが感じられる。
ドリアンの味わいを表現するにあたって、これが私の精一杯の試みだ。しかし言葉では言い尽くせない。ドリアンのようなフルーツはほかにはない
さて、古今東西のドリアンに関する食レポを読んで、あなたはドリアンが食べたくなっただろうか?逆に敬遠したくなっただろうか?
日本の食レポのプロ、彦摩呂とかならなんと表現するだろう?
References:20 Attempts to Describe the Taste of Durian, the World’s Smelliest Fruit | Mental Floss/ translated & edited by mallika
記事全文はこちら:17世紀から現代まで!果物の王様なんだけどクセがすごいフルーツ「ドリアン」を食した西洋人の20の食レポ http://karapaia.com/archives/52275670.html
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