ダンスのフォームを生み出すのは人間だけではない。14種のダンスを覚えたキバタン(オウム)の魂のムーヴ

alberto clemares exposito/iStock
 2007年にバックストリート・ボーイズの楽曲に合わせたダンスでデビューしたオウムの一種、キバタンのスノーボールさんだが、あふれんばかりの才能に恵まれた彼は、それだけで満足しなかったようだ。

 公開された動画では、スノーボールさんが新たに身につけた14種の魂のムーブを惜しげもなく披露してくれている。


 彼の繰り出すダンスムーブは教えられたものではなく、自分で編み出したものなのだそうだ。

 ダブステップ的な動きから、ハートの込もったヘッドバンギングまで全部だ――くっ、才能の点で鳥に負けた気がするからって、悔しくなんかないんだからねっ!
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Snowball, the dancing cockatoo

【ダンスは人間の文化の産物ではない】

 ちなみにこれ、学術誌『Current Biology』(7月8日付)に掲載された真面目な研究の一環だ。

 なんでも、音楽に合わせて踊るという行為が、人間の文化の産物ではなく、一定程度の認知機能を備えた動物が音楽に対して見せる反応であることを示したものであるらしい。

 前回の研究では、スノーボールさんがリズムに合わせて体を動かせるということが確認された。ダンスは他の霊長類にも見られない人間特有の能力なので、これだけでもすごいことだ。

 しかしそれから間もなく、飼い主でもあるイレーナ・シュルツ氏は、すぐにスノーボールさんがこれまで見たこともない動きをすることに気がついた。そこで、このムーブと人間のダンスとに類似点があるのかどうかを確かめることにしたのだ。

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【目的のためではない動作】

 そのために、80年代ナンバーであるクイーンの『地獄へ道づれ』とシンディ・ローパーの『ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン』をそれぞれ3分ずつ、計23分間流し、それに合わせて踊るスノーボールさんを撮影。それから各ムーブをフレームごとに解析した。

 そこからわかったのは、スノーボールさんは明らかに意図的にこの動きをしており、それでいてエサをもらうなど、何らかの実用的な目的を遂げようとしているわけではなさそうだということだ。

 観察されたダンスムーブは14種類あり、それらを組み合わせたものも2種類あった。人間のダンスと少し違うのは、スノーボールさんのムーブは3、4秒程度の断片的なものだったということだ。


 だが彼のムーブは毎回微妙に違うもので、その柔軟性や創造性すら感じられるものだったという。

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【収斂進化の結果】

 もちろん、スノーボールさんの動きは野生のキバタンが自然に行うものでもはない。

 確かにキバタンは求愛のために踊るような仕草をするのだが、今回撮影されたスノーボールさんのダンスムーブはこれまで一度も報告されたことがないものだそうだ。

 なお人間とキバタンに音楽に合わせて踊るという能力が備わっている理由について、研究チームは、両者が共通の能力を進化させたことによる結果ではと推測している。

 人間にもキバタンにも、「音声学習」「非言語動作の模倣」「長期的な社会的絆の形成」「複雑な行動の学習能力」「意思伝達動作に注意を向ける習性」といった特徴が備わっている。
 
 これらが収斂した結果、音楽を聴くと、それに合わせて体を動かしたくなると考えられるんだそうだ。

 以下の動画は11年前、バックストリート・ボーイズの楽曲に合わせたておどるスノーボールの映像である。

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Snowball (TM) - Our Dancing Cockatoo

 以下の動画は9年前のものでマイケル・ジャクソントリビュートである。

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Snowball's Tribute to Michael Jackson
References:Watch: Snowball the Dancing Cockatoo Taught Himself 14 Dance Moves, Study Says - Geek.com/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:ダンスのフォームを生み出すのは人間だけではない。14種のダンスを覚えたキバタン(オウム)の魂のムーヴ http://karapaia.com/archives/52276867.html
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