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猫の家畜化は今からおよそ1年万前に始まったそうだ。現在、国際猫連盟(International Cat Association)では、71の猫の品種が認識されているそうだが、これは近年の意図的な繁殖による選択によって生まれた、異なる数十の品種も追加されている。
飼い猫や野良猫、また血統書付きや雑種など、猫についてはその性格や行動などまだまだ知られていないことが多く、これまでにも様々な研究が行われてきた。今回は、フィンランドから「猫の態度は品種と密接に関連している」という結論をもたらした研究が発表された。
【40種にわたる5726匹の猫の行動データを分析】
「この子は活発」「この子は甘えん坊」など、猫の性格や行動を説明する時は、通常飼い主やブリーダーの概念に基づいていて、科学的根拠を欠いている。
フィンランドのヘルシンキ大学で猫の遺伝子研究をしているチームは、ネコ科の動物の行動は、品種の違いにより異なるものなのか、もしそうであればどのようにそれらが遺伝的に継承されているのかを調査するため、40種にわたる5726匹の猫の行動データを参考にして分析した。
猫の品種間のパターンを識別し、遺伝率を測ることを目的とした研究では、結果として、猫は異なる品種によって異なる方法で振舞うことがわかった。つまり、活動レベルや内気さ、攻撃性、人との接し方などの猫の行動特性は、品種によって遺伝的に受け継がれていると判明したのだ。
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特に、品種間による最も明らかな違いが出たのは、活動のカテゴリーだった。その一方、最も違いが見られなかったのは足を噛んだり歩いたりする長期的もしくは反復的なステレオタイプの行動だった。
猫のステレオタイプの行動は、生まれて間もない時期から多くの環境的要因の影響を受けたものであると、ヘルシンキ大学で猫の遺伝子研究をし、今回の研究の主導者となったハネス・ロヒさんは述べている。
【種の違いによる行動の違いが明らかに】
では、猫の行動特性にはどれほどの遺伝的要因が起因しているのか。研究チームは今回、特にメインクーンとラグドール、ターキッシュバンの3種の猫に焦点をあてた。
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ロヒさんによると、この3種は多様な遺伝のルーツを持っているという。
メインクーンは、アメリカのメイン州原産の猫だが、実は北欧の品種に関連しメイン州で繁殖調整された猫だ。 ラグドールは西ヨーロッパとアメリカの猫の品種に関連、またトルコが原産地とされるターキッシュバンは、遠い過去に他の品種から分離している猫だそうだ。
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研究では、ラグドールは見知らぬ人や見慣れない物に対して内気さを示したと同様に、人には攻撃性も見せ、ターキッシュバンは人と他の猫に攻撃性を示したという。メインクーンは、飼い主や他の猫との接触においては活動的で攻撃性を示したが、見知らぬ人は内気さを示した。
こうした行動の違いは、毛皮や目の色などの特徴が遺伝的に継承されるのと同様、選択された品種や特性によって影響を受けている可能性があると研究では述べられている。
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更に研究では、上記3種以外にも興味深い行動をする品種も発見した。
ブリティッシュショートヘアは、人間との接触が極めて低かったのに対し、タイ原産の猫コラットはとても人懐こい活動性を見せた。
ロシアンブルーは見知らぬ人には懐こうとしないが、バーミーズは正反対で誰にでもフレンドリーな特性を見せた。
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また、コーニッシュレックス、コラット、ベンガルは最も活発な品種で、ブリティッシュショートヘアはおとなしさのレベルが最高だったようだ。
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【猫の性格と行動特性は品種による遺伝的なもの】
「これらの分析は、猫の行動特性が中もしくは高レベルで遺伝的要因に起因していることを示しており、猫の外向性や恐怖心、攻撃性などといった性格要因も、表現上のものだけではなく遺伝的に相関した特性で構成されていることを裏付けた」と論文には綴られている。
研究者らは、今回の結論をより確定したものにするため、今後約2万匹の猫のデータを集める計画をしている。飼い主の観察と統計分析を使用し、猫の行動において環境と遺伝学が果たす役割を引き続き調査したいと考えている。
この研究論文は「Scientific Reports」に掲載された。
References:Scentific Reportsなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:猫の性格や行動は品種と密接に関連するという研究結果が大規模調査で明らかに(フィンランド研究) http://karapaia.com/archives/52277195.html
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