
イギリスに存在した猫の肉屋とは?Image by vintag.es
猫肉屋の姿は、1800年代半ばから1930年代くらいまで、ロンドンやその他大都市ではごく普通の光景だった。
だが安心してほしい。
これは猫の肉を売る店ではなく、猫に与えるエサの肉を売る店のことだ。彼ら肉を乗せたカートで路上を歩き回り、人間に売ることができない馬肉を、猫や犬のエサとして販売していたのだ。
【19世紀半ばに登場した、猫や犬の為のエサ肉を売り歩く馬肉売り】
1800年代半ばから、ロンドンの通りを肉売り人が路上を歩き回りながら、猫や犬のためのエサの肉を各家庭に売り歩いていた。この職業は猫肉屋と呼ばれていた。
エサは主に馬の肉で、病気だったり、年老いて働けなくなったたくさんの馬が、毎週大都市で食肉とされた。人間に売ることはできないこうした馬肉は当時豊富にあり、1ポンド当たりおよそ2.5ペンスで売られていた(現在の価格にして、およそ1.29ポンド)。
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【ロンドンで大人気だった猫の肉屋】
ヴィクトリア朝社会の研究者ヘンリー・メイヒューは、1861年にはロンドンに1000人の猫用の肉売りがいて、各家庭に猫1匹として、多頭飼いの家、野良猫も含めて、およそ30万匹分の猫のエサをまかなっていたという。
それぞれの肉売りは特定のルートを歩いて、数百世帯をまわっていた。ごはんの時間をかぎつけた猫たちがニャーニャー鳴くので、彼らがやってくるとすぐにわかったという。
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【猫用の肉売りを嫌う人も。】
猫用の肉売りは、猫たちにはもちろん人気があったが、嫌がる人もいた。
住む家もなく、腹をすかせて通りにたむろしている貧しい人間たちが、ひと口でもいいからと物欲しそうな目をして肉売りをつけ回し、ときに普通の買い物客を脅かして追い払ってしまうこともあった。
肉売りのカートが放つ肉のにおいは、猫や浮浪者は惹きつけたかもしれないが、近隣の住民からは悪臭をまき散らしていると苦情が出たりした。
ある肉売りは、馬肉の放つにおいのせいで近所から苦情が出て、実際に商売の場所を追い払われたという。しかし、当然のことながら、猫たちがこうした文句を言うことはなかった。
20世紀になってロンドンの人口が減り、かつてプロのネズミ捕り屋を雇っていた業界がすたれても、人々はますます猫に夢中になった。
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猫だけでなく犬にもそれらの肉は販売されていたようだ。
猫肉屋は文学作品にも登場している。有名なのは、『ドリトル先生』シリーズに登場するマシュー・マグだ。また、アーネスト・トンプソン・シートン
の『動物英雄伝』(Animal Heroes、1905年)における一編『裏町の野良猫』(The Slum Cat)でも、19世紀末のニューヨークで行商に励む猫肉屋の精緻な描写が見られる。
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References:Amazing Vintage Photographs of Cat's Meat Sellers in London in the Early 20th Century ~ vintage everyday/ written by konohazuku / edited by parumo
記事全文はこちら:19世紀から20世紀にかけて、イギリスでは「猫肉屋」が存在した http://karapaia.com/archives/52277495.html
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