
Manuel Schmalsteig CC-BY-2.0/Oyvind Kolas
上の写真をじっくり見てみよう。またも脳に存在するバグが暴きだされてしまう。
あ~、カラー写真かと思ってたけど、もしかしてモノクロ?
今回紹介するのはデジタルメディアアーティストのエイヴィン・コロース(Oyvind Kolas)氏が作った「色同化グリッド錯視」という作品だ。
写真は本来、白と黒なのだが、そこに色のついた線を格子状に描くと、あら不思議! なんとなく色の褪せたカラー写真に見えてきてしまう。
「モノクロの画像に、色の彩度を高めにした格子状の線を引くと、格子に囲まれたモノクロのはずの部分がカラーに見えてくる」とコロース氏は説明する。
【脳はうっかり騙されがち】
それにしても、なんだってまた脳はこいつをカラー写真だと勘違いしてしまうのだろうか?
オーストラリア、シドニー大学の視覚の専門家バート・アンダーソン氏によると、この錯視の効果はそれほど驚くべきものではないとのことだ。
「色の認識は、専門家に言わせれば『ローパス』です。つまり色をコード化する受容野の多くはとても大きいんですよ。そのために、格子がモノクロの背景を平均化して、そこに色があるように認識されるのです。」
要するに、脳は目からの情報を圧縮して、ぱっと見たときの大雑把な印象を決めているということだ。
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Manuel Schmalsteig CC-BY-2.0/Oyvind Kolas
【ドットや線、動画でも】
もしかしたら、すぐに色が消えちゃうよ! という意見もあるかもしれない。ならばこの写真はどうだろうか?
この写真は、コロース氏が写っている人全員から掲載の許可を得られなかったため、今回はあえて紹介しなかったものだが、色同化の効果がずっとはっきり感じられる。
なお錯視は格子状の線以外にも、ドットやただの線でも作り出すことができる。
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Manuel Schmalsteig CC-BY-2.0/Oyvind Kolas
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Manuel Schmalsteig CC-BY-2.0/Oyvind Kolas
なお、ドットの場合は、印刷で使われているハーフトーンによく似ているのだそうだ。色同化によって、視覚系が関与する前に、色の視覚的混合が助けられているのだという。
線の場合は斜めの線でも水平線でも同じ効果を得られる。
さらに写真だけではなく、動画でもバッチリ発揮される。ご覧の通り、モノクロの動画なのに色のついた格子のおかげで、カラー動画に見えるはずだ。
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Color Assimilation Grid Illusion
References:Color Assimilation Grid Illusion | Oyvind Kolas on Patreon/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:脳が騙される案件。モノクロ写真がカラー写真に見えてしまう錯視 http://karapaia.com/archives/52277679.html
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