不安で胸が張り裂けそうなあなたへ。過度に心配していることの多くは現実にならない(米研究)

Image by Lars_Nissen_Photoart from Pixabay
 不安で胸が張り裂けそうになる。悪い方にばかり考えてしまい心配で夜も眠れない。
誰だって多少の心配事はある。適度な心配ならば正常だ。

 だが、それがあまりにも過ぎた場合には、身体症状や精神症状が現れるようになり、不安が悪循環していく。

 現在、連日報道される感染症関連のニュースに翻弄され、不安で夜も眠れない人も多いと思う。それは楽観視して良い問題ではないが、過剰な心配で心の健康を崩してしまっては元も子もない。そんな悩みを抱えた人たちが少しだけでも気が休まるよう、この研究結果を再送したいと思う。

 心配事にはざっくり2種類ある。ひとつは自分が実際に取り組める現実的な事柄だ。もうひとつは、過剰なまでに肥大してしまった妄想による懸念だ。懸念の場合、その多くが現実には起こらないという。 
 
【心配するのは意味がある】

 健康やお金、あるいは人間関係といったことを心配するのは当たり前だ。そして、場合によってはそうすることにメリットもある。


 2017年の研究では、心配が自分を守り、問題を未然に防ぐよう行動を起こさせるモチベーションになることを明らかにしている。

 たとえば、健全な程度の心配をする女性がいるとする。そうした女性は、やたらと心配性だったり、反対にまったく無頓着だったりする女性に比べると、きちんとがん検診を受ける割合が高い。このように、心配は何かに対して備えるよう促してくれるのだ。

[画像を見る]
Image by Pete Linforth from Pixabay
【一方、無意味な過度の心配も】

 だが、あまりにも心配しすぎてしまうのは心身どちらにとっても有害だ。

 そして、それは全般性不安障害の特徴でもある。青年期に始まることが多い全般性不安障害は、不安のあまり何もかも手につかなくなってしまう病気だ。

 米ペンシルべニア州立大学の臨床心理学者ルーカス・ラフレニエール博士は、「これこそが私が心配のせいで胸が張り裂けそうになる理由です」と話す。

 常日頃から心配にさいなまれる人は、絶対に起こらないような将来の出来事を回避するために、生活のすべてがストレスになってしまうのだそうだ。

 非現実的な”いつか”のために”今”が台無しになってしまう。それは辛いものだろう。

【過剰な心配事の多くは起こらないという調査結果】

 彼がこう言うのにはきちんとした根拠がある。
Behavior Therapy』(7月19日付)に掲載された彼の研究では、全般性不安障害の患者が心配していた事柄の91.4パーセントは実際に起こらなかったことが明らかになったのだ。

 この研究では被験者29名に10日間、心配事やそれが生活にストレスをもたらし、影響を受けた程度を記録してもらった。そして、毎晩10時に、その日に心配な事柄を考えた時間の長さを振り返ってもらうのだ。

 さらに期間が終了してから20日後に、記録した心配事が実際に起きたのかどうか確認してもらった。もし本当に起きた場合は、それがどの程度悪いものだったか評価する。

 調査の結果、心配事のほとんどは実際には起こっていないことが判明した。心配の9割がただの杞憂に過ぎなかったということだ。

[画像を見る]
Image by S. Hermann & F. Richter from Pixabay
【心配事が起きなかったのは心配していたからではない】

 じつはこの調査はラフレニエール博士が考える認知行動療法を実証するためのものだった。

 その方法とは、全般性不安障害の患者に自分の心配を記録してもらい、それがいかに無用な心配であるか納得してもらうことで、症状を緩和させるというものだ。

 そして、確かにその通りだった。研究に参加した人たちは、自分の心配がまったくの的外れだったことがわかると、将来への心配が和らぐ傾向にあった。

 一方、この研究結果に対しては、「心配事が実現しなかったのはちゃんと心配していたからだ」と患者が誤解する恐れがあるという批判がある。
もしそうであれば、この療法が症状をかえって頑固なものにしてしまうかもしれない。

 これに対して、ラフレニエール博士は、別の分析の結果、そのようなことにはならないことがわかっていると反論している。

 「そのようなことにはならず、ちゃんと自分の心配が非論理的で、考えの筋道や幸せを台無しにしているということ、ひいてはまったく無意味だということに気づきます。」

 最悪の事態が起きる不安にばかり気を取られていると、実際に今経験しているはずの喜びにまったく気が付かず、自分から幸せを放棄してしまっているようなものなのだ。

【圧倒的な思い込みの強さが不安を増幅させる】

 なおラフレニエール博士は、感情的な反応の強力さには驚かされてると述べている。

 研究によれば、患者の中には合理的に考えれば起きる可能性はゼロだと思えるのに、直感的には85パーセントもの確率で起きると予感していたりする人がいる。

 そういった人はただ単に思い込みが強いのかもしれないが、それが少し困った方向に発揮された結果、辛いを思いをしてしまっている。

 病は気からというように、不安が増長されると持って生まれた自然治癒力や免疫力も失われてしまうことになりかねない。まずは気をしっかり持とう。

 そして自分でできる最善の努力をすればいい。気を付けることと心配することは意味合いが違う。

[画像を見る]
Image by Shift and Sheriff from Pixabay
【逆に考えよう。思い込みの強さは武器にもなる】

 だが思い込みが強いということは悪いことだけではない。
違った方向で発揮されたら、素晴らしい武器にもなる可能性もある。

 よく信念の人という人物がいる。そうした人は、普通なら不可能に思えることでも諦めずに挑戦し、見事やってのける。それは思い込みの力とも言えるかもしれない。ポジティブな思い込みはチャンスをものにできることもあるのだ。
 
 人生何が起きるかわからない。それは誰だって同じことだ。人生万事塞翁が馬、人生における幸不幸は予測できないようにできている。

 ということで私は毎日、どんな小さなことでもいいから、楽しかったこと、うれしかったことを思い出し、喜びを噛みしめてみることにした。

 いつもは並ばないと買えないおいしいパンがすんなり買えたこと、近所の人がおいしく漬かったからとお漬物を届けてきてくれたこと、猫が膝に乗ってきて、顔を摺り寄せてくれたこと。こうやって文字にすると更に気分が穏やかになってきたぞ。

References:Generalized Anxiety Disorder Study: 91.4 Percent of Worries Don't Come True | Inverse/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:不安で胸が張り裂けそうなあなたへ。
過度に心配していることの多くは現実にならない(米研究)
http://karapaia.com/archives/52277905.html
編集部おすすめ