そこに訪れるだけの価値がある。世界で最も美しいとされる15の駅


 世界の至る所に存在する駅。その建物は、文明化された構造物というだけでなく、時にアートそのものといってもいいほど美しい佇まいを見せている。


 超近代的で未来的なデザインの主要駅から、何年も大切に維持され続けてきた歴史ある駅まで、世界中の目的地となる鉄道駅は単なる列車の発着ターミナルという以上に、そこで時間を過ごす価値のある場所としても魅力的だ。

 ウェブ雑誌『アトラス・オブスキュラ』が、「これまで訪れた中で最も素晴らしいと思った駅」についての調査を読者に行ったところ、15の駅がリストアップされたので、早速見てみよう。
【タイのバンコクにあるバンコク駅(フワランボーン駅)】

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 バンコク駅はフワランボーン駅とも呼ばれ、タイ全方面をバンコクと繋ぐ路線が集まるタイ国有鉄道の中央駅だ。

 駅舎の特徴となる半円ドーム型の建物は、イタリア人建築家がデザインしたもので、ネオルネッサンス建築様式の構造が美しい。

 長時間、乗り継ぎの列車を待つ旅行者も、「この駅にいると退屈しない」そうだ。

【イギリスのロンドンにあるセント・パンクラス駅】

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 ユーロスターやロンドン市内を走る地下鉄、イギリス各地へ向かう地方列車といった交通網が素晴らしいというだけでなく、買い物や食事、アート観賞に退屈しない駅の1つがこのセント・パンクラス駅だ。

 エドワード朝時代を彷彿とさせる鉄のアーチ型をしたデザインの駅舎は、全体が美しいフレームワークとレンガでできたゴシック建築で、時計塔の中には宿泊できる施設がある他、ユーロスターのプラットフォームを見下ろせる5つ星ホテルも入っている。

 コンコースにはエルトン・ジョンも演奏したというピアノが設置されていて、乗り継ぎで長い待ち時間を過ごす旅行者の退屈しのぎにもなっている。

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 また、詩人だった男性の銅像や「The Lovers(恋人たち)」と名付けられた抱き合ったカップルの彫刻なども設置されていて、駅はウィットに富んだ芸術作品そのものだ。

 ちなみに、セント・パンクラス駅の隣には、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズでお馴染みの、ホグワーツ特急の始発プラットフォームがあるキングス・クロス駅がある。

【ベルギーのアントワープにあるアントウェルペン中央駅】

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 「アントワープ観光は、駅から始まる」と言われるほど、この駅は世界で最も美しい駅ランキングの常連だ。

 本来は木造建築だった駅舎が、1895年にアントワープ出身の有名建築家により生まれ変わった。
駅舎の中には王室をイメージしたカフェもあり、利用者は優雅なひとときを楽しむことができるという。

【スペインのマドリードにあるアトーチャ駅】

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 大きなドーム型の屋根に金色のオブジェをあしらい、壁面はレンガ、床は石造りというスペインらしい芸術的な壮観になっているこの駅舎の中には、植物園並みに多くの木々が植樹されているのが特徴だ。

 アーチ形の天井から差し込む陽の光を浴びて、旅行者たちは憩いのオアシスとしてこの駅で寛ぐことができる。

【タイのホアヒンにあるホアヒン鉄道駅】

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 「タイで最も美しい鉄道駅」との呼び名が高く、ホアヒンの名所となっているこの駅は、黄色と赤に塗られたタイ伝統の建築様式の駅舎が特徴だ。

 駅内には、タイ王室専用の待合室もあるという。

【イタリアのナポリにあるトレド駅】

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 ナポリ中心地には複数の地下鉄が通っているが、さすがイタリアと思わずにいられないほど、駅構内は芸術で溢れている。

 特に、スペインの建築家オスカル・トゥスケッツ・ブランカがデザインした1号線は、「世界で最も美しい地下鉄駅」と呼ばれているほどだ。

 144個のLEDが、円錐形の空間が開けられた天井を幻想的に演出しており、長いエスカレーターに乗ると、乗客らはまるで深海から上昇していくような不思議な感覚を味わうことだろう。

 駅の利用者が、「ナポリの地下鉄の駅は、全て芸術作品で装飾されているか、芸術そのもの」と語る言葉にも頷ける。

【日本の京都にある京都駅】

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 古都のイメージが強い京都だが、玄関口となる京都駅はモダンなデザインの現代アートのような建築構造だ。

 ゆったりとした吹き抜けのスペースがあることで、観光客の多さにあまり窮屈さを感じさせないところが、旅行者にとってはポジティブな評価となっているようだ。

 世界の素晴らしい駅同様に、この京都駅内にもデパートや数多くのレストラン、お店などが入っており、待ち時間退屈することはないだろう。


 長いエスカレーターを一番上まで上ると駅ビルの屋上には癒しの空間が広がり、京都市内の景色や新幹線など列車が各方面へと走る姿が一望できる。

【ロシアのモスクワにあるキエフスカヤ駅】

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 環状線にあるこの駅は、ソ連の指導者ニキータ・フルシチョフが個人的にデザインしたと言われており、エレガントな装飾と複数のモザイク画が美しいと評判だ。

 ロビーは大理石と花崗岩で装飾が施され、柱はフィレンツェの建築様式で、そこに飾られた18枚のパネルにはロシアとウクライナの関係史が描かれている。

【米オハイオ州シンシナティにあるユニオン・ターミナル駅】

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 1930年代のアールデコ様式の素晴らしい例がこの駅舎だ。

 ターミナル内には科学や歴史、教育的体験を楽しめるマルチミュージアムが入った複合施設があり、全てを楽しむには数日かかるとも言われている。

【イタリアのミラノにあるミラノ中央駅】

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 国内はもちろんのこと、ヨーロッパ各国の大都市を結ぶ国際列車のほぼ全てが発着するミラノ中央駅は、まさに陸の玄関口だ。

 大理石の床と壁、柱で覆われた内装は、まるで美術館のような重厚感があり、高いガラス張りのアーチ型天井を持つプラットフォームに入る多くの列車を見ていると、この駅が息をのむほど美しいということを感じずにはいられないほどだと旅行者は語る。

 何百本もの列車が行き来するこの駅は、単なる列車の発着ターミナルというだけではなく、鑑賞のために訪れる価値のある場所といっていいようだ。

【ニュージーランドのダニーデンにあるダニーデン鉄道駅】

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 ダニーデンを故郷とする人なら誰もが愛し、誇る駅が、このダニーデン鉄道駅だ。

 外観を含め駅舎は、商業の中心都市として栄えた1900年代初期のダニーデンを彷彿とさせ、黒色の玄武岩にオアマル産の白い石灰岩の縁取りが特徴的な美しい装飾が施されたフレミッシュ・ルネッサンス様式の建築物として有名だ。

 コンコースのモザイク床には、英国王室御用達のロイヤル・ドルトン製の磁器タイルが75万枚使用されているという。

 現在、美しい景観で有名なタイエリ峡を訪れる観光列車のみの発着となっているが、全長1kmのプラットフォームは、ニュージーランド国内最長としても知られている。


【スイスのフィーシャタールにあるユングフラウ鉄道駅】

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 ヨーロッパで最も標高の高い場所(3454m)を走る登山鉄道の駅は、スイス観光のハイライトとしても有名だ。

 この駅から眺める自然はまさに絶景で、隣接した複合施設「トップ・オブ・ヨーロッパ」には、氷河の眺望を楽しめる展望台や氷の宮殿など、人気の観光スポットもある。

【ポルトガルのリスボンにあるオリエンテ駅】

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 スペイン・バレンシア出身の建築家サンティアゴ・カラトラバによりデザインされたこの駅は、繊細さとダイナミックさが調和した恐竜の骨格のような構造が特徴的だ。

 美しい鉄骨のプラットフォームは、ライトアップされると一層フォトジェニックだ。

 内部空間は、柱のない有機的な造形になっていて、モダンで印象的な構造建築であることが伺える。

【イギリスのヨークにあるヨーク駅】

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 イングランドとスコットランドを結ぶ主要駅の1つであるヨーク駅は、「ヨーロッパで一番美しい中世の街」と称される玄関口となるだけに、駅舎は歴史の奥深さを感じさせるに十分だ。

 プラットフォームに降り立つと、思わず時がタイムスリップしたかのような感覚になるという旅行者も多いが、それこそがこの駅の魅力のひとつといえよう。

 駅舎の隣には鉄道博物館があり、ヨークと鉄道の歴史の深さを堪能することができる。

【ブラジルのサンパウロにあるルス駅】

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 ポルトガル語で“光”を意味する「ルス(luz)」。1901年に、ネオクラッシク様式の瀟洒なデザインにリニューアルしたが、このデザインはイギリスのキングス・クロス駅からインスパイアされたものだという説がある。

 1946年に焼失し、1951年に再建されたこの駅は、その名前にふさわしくガラス天井から差し込む光に満ち溢れている。

 また、市内が見渡せる時計台や、ヨーロッパの駅舎でよく見られるドーム型の屋根など均整の取れた美しい建築が市民の間でも人気となっているようだ。


References:Atlas Obscuraなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:そこに訪れるだけの価値がある。世界で最も美しいとされる15の駅 http://karapaia.com/archives/52278947.html
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