
アメリカ・ルイジアナ州エイブリー島産の調味料で、ピリッとした刺激的な辛さと酸味が特徴の「タバスコ」は、世界で最も有名なホットソースとして知られている。
ほんの数滴垂らすだけで酸味のあるスパイシーさを付加できるタバスコは、味に変化を加えたい時にはもってこいのアイテムだ。
そんなタバスコには、150年以上という長い歴史がある。そこには、今まで知らなかったという事実もあるかもしれないので、今回はタバスコに関する12の事実を紹介しよう。
【1.タバスコの本社はアメリカのルイジアナ州エイブリー島】
本社はメキシコ・タバスコ州にあると勘違いされやすいが、実はアメリカのルイジアナ州エイブリー島にある。
島といっても、実際にはルイジアナ南部にある湿地帯地域で、家族経営のマキルヘニー社で、5世代にわたり、実に150年以上もここに拠点を置いて、タバスコの生産を続けている。
[画像を見る]
ニューオーリンズからわずか2時間ほどの距離にあるエイブリー島には、全てのタバスコペパー(唐辛子)の種がまだ栽培されており、世界最大級の岩塩採取地であることから、タバスコの成分に必要な塩も地元のものを使用。
タバスコ工場の敷地内は見学が可能で、館内レストランではタバスコで味付けしたスパイシーなケイジャン料理や、伝統的な南部料理が楽しめるという。
【2.含まれている成分は3つのみ】
タバスコのレシピは、創業開始の1868年以降ほとんど変わっていないそうだ。タバスコ作りに必要なものは、タバスコペパー(唐辛子)と塩、蒸留酢の3つのみ。
エイブリー島で栽培されるタバスコペパー(唐辛子)の種は、世界各国の小規模農場に出荷されている。タバスコの赤い色は、もちろん自然色だ。
[画像を見る]
【3.1本の瓶(約60ml)に720滴】
1800年代、有名なマキルヘニー社のソースは、開拓時代だったアメリカ南部の多くに普及していた当たり障りのない食事を蘇らせた。
タバスコが、刺激ある濃厚な風味に食事を変えたことを知った人々の多くがタバスコを買い求めるようになった。
当初生産された628本のボトルは、1ドル単位で販売されたという。インフレを考慮すると、今日の値段ではなんと17ドル(約1850円)相当にも上ったようだ。
[画像を見る]
【4.もともとはコロン(香水)用の瓶に詰められていたという噂】
長い間、タバスコの最初の生産品は、使用済みもしくは廃棄済みのコロン(香水)用ボトルに詰められているという噂があった。
しかしマキルヘニー社は、ボトルは委託業務先の新品のブランドであることを明かした。
また、ボトルにスクリューキャップを取りつけ、使いやすいようにボトルを改良。これは、当初のボトルでタバスコを誤ってかけ過ぎるという人々が増えすぎたための対策とされている。
[画像を見る]
【5.イギリスの王室御用達商品に2009年に認定される】
タバスコは、イギリスのバッキンガム宮殿でも定期的に使用されるようになった。というのも、エリザベス女王がクランペットにタバスコをほんの少し振りかけて食べることを好んだからだ。
2009年には、タバスコは名誉に値する商品として、英国王室御用達(Royal Warrant)に認定されるほどの高い評価を受けた。
【6.宇宙飛行士とアメリカ陸軍も大好きなタバスコ】
味気の無い凍結乾燥された宇宙飛行食にスパイスと風味を与えるため、1970年代にタバスコは宇宙飛行士とともに宇宙へ飛んだ。
また、1980年代からはアメリカ陸軍のMRE(戦闘糧食)にも使用されている。
[画像を見る]
【7.マキルヘニー社、鍵をかけた金庫に最高の唐辛子の種を保存】
1800年代初頭に、ルイジアナ州に最初に持ち込まれた唐辛子の種は、製造元にとって家宝も同然だ。
同社が、よりよりタバスコ作りを求めて毎年最高の種子を選び、翌年のために種子を半分ずつに分けて、それぞれ未公開の場所とエイブリー島の施錠された金庫に大切に保管しているという話は、長きにわたり語り継がれているようだ。
【8.バーボンのように樽で熟成させる】
タバスコは、150年以上にわたり生産されているが、そのレシピはほぼ変わらぬままだ。
タバスコペパーと塩を砕いて、バーボンのように3年間熟成させた後は蒸留酢と混ぜ合わせ、高濃度のソースとなって私たちのよく知るボトルへと詰められる。
[画像を見る]
【9.害虫駆除にも役立つ】
タバスコを使って希釈スプレーを作り、植物を荒す害虫から守ることも可能だ。中にはスプリンクラーにタバスコを混ぜて撒く人もいるのだとか。
【10.タバスコを題材にしたオペラが上演】
1894年には、タバスコを題材にしたバーレスクオペラまで上演されたそうだ。
このオペラは、ボストンのタバスコを愛するボランティア民兵が基金イベントとして行ったものであり、マキルヘニー社は知らなかったという。
食べ物の風味とスパイスを見出すため魔法の成分を見つけようとする出来損ないのシェフのストーリー仕立てになったこのオペラ、最後に登場する魔法の成分が何かは容易に想像できるだろう。
この上演にあたっては、タバスコのロゴ使用許可と引き換えに、ショー中にタバスコのサンプルが配られたということだ。
2018年には、タバスコ生誕150周年を記念して、ニューオーリンズで当時の内容を少し変えたオペラが再演された。
[画像を見る]
【11.マクドナルドよりも世界中で愛されている】
タバスコは、マクドナルドよりも多くの国で使用され、流通している。世界の195か国以上の地域でタバスコを目にすることができるが、マクドナルドは店舗数こそ各国には多いが、国の数でいうと120か国ほどで、タバスコが置かれている国の方が圧倒的に多い。
また、タバスコには25か国の言語をカバーするラベルがついている。
[画像を見る]
【12. 日本での普及の裏にあのプロレスラーが!】
日本にタバスコが最初に入って来たのは、第2次世界大戦後の1940年代と言われている。
1970年代、プロレスラーのアントニオ猪木が設立した貿易会社、アントン・トレーディング社がマキルヘニー社と代理店契約を結び販売権を得て、日本人にその味を定着させたそうだ。
その当時、激辛ブームや宅配ピザが広まりタバスコの需要が大幅に伸びた。ただしアントニオ猪木は、別件で借金を抱えたため後に販売権を手放している。
[画像を見る]
結局のところ、世界で最も有名なソースは、ほどよい刺激と酸味を引き起こして世界中の人々をやみつきにさせているようだ。
私は子供の頃は苦手だったが、今はピザやトマト風味のパスタ、グラタンやドリアなどの味変用として使っている。お店にタバスコがないとちょっとがっかりしたりする。んでもって今では、マイタバスコを持ち歩くほどには好きになっていたよ。
References:neatoramaなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:味変の友。150年以上の歴史を持つ「タバスコ」に関する12の事実 http://karapaia.com/archives/52283639.html