原子炉の炉心部で発生するチェレンコフ放射をとらえた映像


 長年の研究によって人類が利用可能になったテクノロジーはいくつも存在するが、こうした研究のために開発された施設では、一般人がめったに見ることができない光景が繰り広げられている。

 アメリカで研究用に開発された原子炉TRIGAは、炉心部を肉眼で観察できる特殊な原子炉で、起動時に発生する青い光が目視できるという。


 その光は、荷電粒子が物質中を運動する時、荷電粒子の速度がその物質中の光速度よりも速い場合に光が出るチェレンコフ放射と呼ばれるものだそうだ。 
再生時音量注意
[動画を見る]Triga, Pulse operation, Nuclear reactor 240 MW, 7.12.2012

【炉心を肉眼で観察できる研究用原子炉TRIGA】

 これは2012年に公開されたカリフォルニア州サンディエゴを拠点とするエネルギー関連企業ゼネラル・アトミックスの原子炉、TRIGAの映像だ。

 Training(トレーニング)、Research(研究)、Isotopes(アイソトープ)、General Atomics(ゼネラル・アトミックス)の頭文字から命名されたTRIGAは、世界で最も一般的に利用されている研究用に開発された原子炉だ。

 この原子炉は核分裂によるエネルギーを利用する原子炉とは異なるもので、運転時の炉心部を肉眼で観察できる構造になっているため、その時に発生する現象も目視可能なのだ。

【高出力パルスで生じる青い光】

 この動画は、TRIGAの実験燃料棒に高出力をパルス状に加えるパルス運転で発生する青白い光をとらえたものだ。

 パルス放射秒読み中の炉心はこんな感じだが…
[画像を見る]
 
 バシッという音と共に青くまばゆい光が!
 思わず目を見張るほど美しい瞬間だ
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 その後まもなく制御棒が作動
 波紋とともに光が消える様子がうかがえる
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【チェレンコフ放射の幻想的な青い光】

 この幻想的な青い光は、チェレンコフ放射という現象で発生することからチェレンコフ光とも呼ばれている。

 チェレンコフ放射とは、水などの透明な物質を通過する荷電粒子の速度が、その物質内における光の速度を超えている際に光を出す現象を指す。

 この現象は、1934年にパーヴェル・チェレンコフにより発見され、チェレンコフ放射と名付けられた。その後、イリヤ・フランクとイゴール・タムにより、その発生原理が解明されたそうだ。これらの功績によりこの3名は1958年のノーベル物理学賞を受けている。

References: boingboingなど /written by D/ edited by parumo

記事全文はこちら:原子炉の炉心部で発生するチェレンコフ放射をとらえた映像 http://karapaia.com/archives/52285696.html
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