知ってた?スペインでは大晦日の夜に12粒のぶどうを食べる風習がある

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 新年を目前に控えた大晦日の日、日本では年越し蕎麦を食べる風習がある。蕎麦は他の麺類よりも切れやすいことから「今年一年の災厄を断ち切る」という願いが込められており、日本人の半数以上がこのゲン担ぎを行っている。


 所変わってスペインや中南米の一部の国にも大晦日にある食べ物を食べることで幸運を呼び込むという風習がある。

 それはなんと12粒のぶどうである。
【午前0時に食べる、幸運を呼ぶ12粒のぶどう】

 スペインや中南米の一部の国では、大晦日の夜、午前0時に12回鳴る鐘の音と共に12粒のぶどうを食べる習慣がある。このぶどうは「幸運を呼ぶ12粒のぶどう」と呼ばれ、新しい年の災厄を追い払う意味があるという。

 1粒のぶどうはこれからやってくる1年の月を表す。12粒で1年分(12か月分)で、全てを食べ切ると幸運が訪れるとか願いが叶うと言われている。

 スペインでは、午前0時にマドリード、プエルタ・デル・ソルにある時計台の鐘が12回鳴る。これはテレビで生中継される。たいていの人は家でテレビを見ながらぶどうを食べるが、多くの人が集まる町中の広場、バー、レストランなどでもぶどうチャレンジは行われる。

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【幸運のぶどうの由来】

 この12粒の幸運のぶどう(uvas de la suerte)の起源は諸説ある。

 1900年代始めにスペイン、アリカンテのぶどう農家が、大豊作で余ってしまったぶどうを「幸運のぶどう」と称し、皆にふるまった。いう説が一般的だ。


 しかし、1880年代には既にこの風習が存在しており、マドリードの中産階級が、大晦日にシャンパンを飲み、ブドウを食べるフランスの習慣を真似したことがきっかけだった、という説もある。

 いずれにせよ、このスペインの習慣は最終的に中米、南米にまで広がることになった。

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【昔は12粒のぶどうを全て食べきるのは至難の業だった】

 ただしこの風習にはルールがある。鐘が鳴り終わるまでに12粒全てのぶどうを食べ切らなければならない。

 鐘は約3秒ごとに鳴るので、最初の1回がスタートの合図だとして、12粒のぶどうを33秒以内に食べ切らなければならず、もし食べ終わらないと幸運が訪れないとか、願いが叶わないとも言われているのだ。

 33秒で12粒なら余裕だろうって?

 昔はそうでもなかったようだ。スペインではアレド種の実の白いぶどうを食べているのだが、これはマスカットよりも小粒で、しっかりした種が入っていて、皮と種を吐き出しながら食べるのは至難の業だったのだ。

 5.6粒で口の中がいっぱいになりギブアップしてしまう人が続出していたが、最近では品種改良により、種無しの種が登場した為、ぶどうチャレンジの達成は容易となった。

 12月になると、スーパーなどで、皮が薄くて食べやすい種なしのおいしいぶどうが、12粒パックで売られるようになった。また皮ごと食べられる12粒のぶどう缶詰なんかも登場しているので、幸運は身近になっているようだ。

 ということで今回の大晦日は過ぎてしまったが、2020年最後の大晦日の日、幸運のぶどうチャレンジをしてみたらどうだろう?

 鐘の音はとりあえず、テレビから流れる除夜の鐘の最初の12回分で。

References:Twelve Grapesなど/ written by konohazuku / edited by parumo

記事全文はこちら:知ってた?スペインでは大晦日の夜に12粒のぶどうを食べる風習がある http://karapaia.com/archives/52286292.html
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