
これまで、様々な動物が宇宙へ実験のために飛び立っているが、その中でも生き延びて地球に帰還した世界初の宇宙飛行猫フェリセットについては、この54年もの間世間で語られることがなかった。
しかし、他の犬や猿同様フェリセットの偉大な功績は忘れられるべきではないと、2017年にキックスターターで記念碑建立のための資金が集められていたが、目標金額を達成し、このほどついに記念碑が完成した。
フェリセットの功績が目に見えた形で称えられることとなった。
【宇宙へ旅した初の猫フェリセット】
当時、フェリセットはパリの通りに住みついていたところを科学者により発見され、航空医学研究教育センター(CERMA)へ実験のために連れて来られた。
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他の13匹の猫に混じって、人間の宇宙飛行士が受ける同様の厳しい訓練を受けたフェリセットは、気質が一番穏やかだったことから宇宙へ飛ぶ初の猫に適任だと判断された。
中型哺乳類の体が無重力環境でどのような影響を受けるのかということに関心を持っていた科学者らは、神経の働きを観察するためフェリセットの脳内に電極を取り付けた。
そして1963年10月18日、フェリセットは「ヴェロニクAG1」ロケットに乗せられ、アルジェリアから宇宙へ打ち上げられた。
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15分間の宇宙での無重力空間に耐えたフェリセットは、無事にその後地球へ帰還し、ネコ科と人間の大きな歴史に貢献した初の宇宙飛行猫となった。
しかし、残念ながらフェリセットはその数か月後に安楽死処分となった。脳内に埋め込まれた電極を取り外して、フェリセットが宇宙でどのような神経学的影響を受けたかを検証しなければならなかったからだ。
地球へ生きて戻った最初の猫であったにも関わらず、その身を実験へと呈して命を落としたフェリセット。そのストーリーは、54年もの間世間にあまり知られることはなかった。
【追悼のための記念碑建立資金がキックスターターで集められる】
科学に大きく貢献した実験動物の中でも、初の宇宙飛行犬ライカは記念碑がロシアのモスクワに設置されてある。また、宇宙に行った猿たちもその功績を称えられストーリーは大きく知られている。
「フェリセットについても、その功績を称えられていいはずだ」と思ったイギリスのロンドンに住むクリエイティブ・ディレクター、マシュー・サージ・ガイ氏は、2017年からキックスターターで、フェリセットの追悼記念碑の資金を呼びかけた。
そして2019年12月18日、世界中の1141人から集められた資金は、43323ポンド(620万円)に上り、フェリセットの偉大な功績から実に60年ほどの月日を経て、ようやく世界初の宇宙飛行猫の記念碑が建立されることになった。
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【フランスの国際宇宙大学ホール内に記念碑が設置】
今回、記念すべきフェリセットの銅像は、フランスのストラスブール郊外にある国際宇宙大学のパイオニア・ホール内に設置された。
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記念碑は高さ約1.5メートルで、フェリセットが地球の上に座って先にある何かを見上げている様子がデザインされている。
ついに、フェリセットの功績がこのように形をもって称えられることに喜びを露わにしているガイ氏は、2020年10月のフェリセットの飛行57周年には、特別記念イベントを開催することを検討中だと話している。
なお、この銅像はイギリスの動物彫刻家ジル・パーカーにより手がけられたという。
References:space.comなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:宇宙に行った猫「フェリセット」の記念碑、ついに完成(フランス) http://karapaia.com/archives/52287345.html
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