あなたのプライバシーを録音マイクから守ってくれるサイバーパンク風ブレスレット(米研究)


 AIを搭載したスマートスピーカーはとても便利だが、知らないうちに盗聴されているかもしれない不安があることも確かだ。

 実際に昨年、Amazon社のスマートスピーカーEcho(通称アレクサ)が、ユーザーとの会話を常時録音しており、従業員たちがいつでも聞ける状態にあったことが報道され話題となった。


 そこで、シカゴ大学のコンピューター科学部の教授、ベン・ジャオ氏は、同学部教授の妻や助教授などの協力の元に、Echoをはじめとするマイクによる盗聴をジャミングしてくれる「沈黙のブレスレット」を開発した。

 その見た目はちょっとかっこいいサイバーパンク風である。 
[動画を見る]
Wearable Microphone Jamming

【着用すると超音波が放出される沈黙のブレスレット】

 それはどこかスマートウォッチのアンチテーゼのようだ。流行のスリムで流線型のデザインとは真逆のゴテッとしたサイバーパンク風で、しかも目的はテクノロジーの撃退である。

 鉄鋲を思わせるぐるりと24個並んだ突起はスピーカーで、着用すると超音波が放出される。

 これは人間の耳にはほとんど聞こえない(若者や犬ならば聞こえるかもしれない)。
しかし高周波を検出できるマイクはこれを拾ってしまうので、聞かれたくない会話などを覆い隠すことができる。

 動画を見れば、その効果がはっきりと分かる。ブレスレットを作動させた途端に、マイクを通して流れるスピーカーの音声がザーッというホワイトノイズになってしまうのだ。

[画像を見る]

【身に着けられるところがポイント】

 じつは盗聴防止のジャミングデバイスはこれ以外にもあるし、スマートスピーカー対策に超音波を使ったものもある。

 沈黙のブレスレットが画期的なのは、そのブレスレット型の形状にある。現在のジャミングは基本的に指向性があるために、それをきちんと機能させるためにはマイクの方向へ向けられていなければならない。


 しかしこのブレスレットは、リング状にスピーカーが配置されているので、さまざまな方向へ向けてジャミングが放たれる。そのためジャミングスピーカーの向きを気にしなくていいばかりか、隠されたマイクに対しても効果を発揮することができる。

 さらにウェアラブルであるのもポイントだ。人は会話をするときに声だけでなく、身振り手振りのジェスチャーもまじえてコミュニケーションを交わしている。このとき、腕にブレスレットが装着されていると、腕の動きのおかげでさらにジャミングの死角を抑えられるのである。

[画像を見る]

【一般家庭に着実に侵入しつつある記録デバイスの恐怖】

 現在、家庭には記録デバイスが着実に浸透しつつある。


 たとえばグーグルやアマゾンは、それぞれ「Nest(ネスト)」と「Ring(リング)」という監視カメラを数百万台も販売している。また、推定によれば、アメリカ人の5人に1人がスマートスピーカーを所有しているという。

 ドアのチャイムを鳴らしたり、キッチンでおしゃべりをしたりすると、それらが記録されている可能性はかなり高いと言えるのだ。

 知らず知らずに自分たちの会話や行動が誰かに見られているかもしれない――それはどうにも不気味な状況だろう。

 ちなみにブレスレットは2200円ほどで制作できるそうだが、今のところ量産される予定はないようだ。

 ただし、こちらのGitHubで詳しい作り方が公開されているので、得意な人なら自作して、テクノロジーによる盗聴に備えてみてもいいかもしれない。


References:sandlab/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:あなたのプライバシーを録音マイクから守ってくれるサイバーパンク風ブレスレット(米研究) http://karapaia.com/archives/52287954.html