完璧主義は目的を見失う。心理的柔軟性を身に着けるための2つのヒント

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 人のタイプの中には、状況に応じて処理する臨機応変タイプと、完璧にしなければ気が済まない完璧主義者タイプが存在する。

 特に責任ある仕事に携わっている人は、完璧にこなすことに責任を感じており、常にその努力を怠らない人も多いだろう。


 確かに、完璧主義は質の高い仕事とサービスを提供する上で、ある意味必要不可欠なものであり、仕事をするプロの人たちにとってはその心理状態は大きな味方となる。

 しかし、その特性にこだわってばかりいると、物事がうまくいかなくなった時に自分自身を苦しめることになってしまう。なぜなら、完璧主義者はカオスに反応して、より完璧さを目指してそのレベルを徐々に増加させるからだ。

 最終的には完璧主義のレベルが高すぎて行動や気持ちが追い付かず、魂が固まってしまっても、完璧主義者は完璧さを偽装しようとする。そして結局、燃え尽き症候群に陥ってしまうことになる。

 では、どうすればその状態を防ぐことができるのか。それは、「遊び心のある自発性」を身に着けることだと専門家は説いている。
【心理的柔軟性を身に着けることの大切さを知る】

 完璧主義者は、物事が完璧にいかなくなった時にも、それを表に見せようとはせず、ひたすら完璧の度合いを上げ続け、最終的に心身ともに燃え尽き症候群に陥ってしまう。

 人間の行動と健康、幸福の繋がりを探求しているアントニー・T・デベネデット医師は、「心理的柔軟性を身に着けることは大切」と説いている。

 遊び心のある自発性の質について調べた同医師は、日常のルーティン外で予定外のことをするという自発的な行動は、人に楽しい経験をもたらすことを発見した。

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 心理的柔軟性は、常に見ることができない自発性だ。それゆえに、期待通りに物事が進まない時に大いに役立ってくれるチャンスを持っている。


 つまり、心理的に柔軟性を身に着けることで、計画外の事態が発生しても、精神的に前向きに受け止めることができるというのだ。

 また、心理的柔軟性により、日常業務の混乱にも対応しやすくなり、それらを評価する方法を学ぶことができる。

 遊び心のある知的な人々は、この柔軟性に長けているという。なぜなら、彼らの中には真面目さと激しさは決して優位ではないからだ。

【肩の力を抜き、臨機応変に生きることで逆に力を得る】

 心理的柔軟性を身に着けるということは、肩の力を抜いて臨機応変に生きるということだ。そうすることで逆に力を得ることができる。

 全てが完璧でなくても、心理的に柔軟になることを実践すると、時間の経過とともに新鮮で生産的な方向に思考を移すことが上手になっていく。

 では、どのようにすればその心理的柔軟性を持つことができるのか。デベネデット医師は2つのヒントを挙げている。

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【ルーティンを定期的に中断する】

 私たちは、習慣の中で生きている。ルーティン生活を送る人にとって、それが保たれるよう管理することも日常のルーティンの1つだろう。しかし、予定やルーティンにあまりにもこだわり過ぎると、麻痺してしまう危険性がある。


 そこで、毎日のルーティンにちょっとした自発性を追加してみよう。自発的な行動は、心理的柔軟性の構築に役立つ。なぜなら、自発的な活動に従事している時は、柔軟でオープンな考え方を必要とする未知の世界に挑戦しているからだ。

 例えば、朝のルーティンにちょっとした変化をつけるだけでもいい。

 目を閉じながら服の着替えをしてみたり、反対の手を使って歯を磨いてみたり。新しい食べ物やしばらく口にしていなかった食べ物を食べてみたり、職場からいつもとは違う道を通って帰ってみたり。

 週末は計画なしでドライブするなど、自発的に過ごしてみよう。そうすることで、ルーティンという感情の無い動きを通過することから保護され、次第に心理的柔軟性が身に着いて行く。

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【感情を軽く保つ】

 人生で困難もしくは予期しない状況が発生すると、感情があふれ出してしまうことがある。

 心の中に流れている気持ちや感情を自身で経験することは必要だが、それらに圧倒されると厄介だ。

 感情的爆発を防ぐコツは、感情を軽く保持すること。そうすると、制御が必要な神経細胞を非活性化させ、心理的柔軟性を高める。


 といっても、どのように感情を軽く保てばいいのか。正直、容易ではないようだ。

 デベネデット医師は、感情があふれ出しそうになっている時に、その感情を言葉にして言ってみたり、書き留めたり、また自分で決めていたコードを口にしてみることを薦めている。

 このコードは、バカバカしく聞こえるような単語の繋ぎ合わせでも何でもいいそうだ。とにかく自分で決めておいて、自分自身に言ってみる。口に出した時には、自分の中で何が起こっているのかを認識しているため、脳は自然に心理的柔軟性に向かって動くという。

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 完璧主義者にとって、ルーティンを崩すことは容易ではない。しかし、燃え尽きてしまわないためにも、心理的柔軟性を身に着けることは大切なのだ。

References:Psychology Todayなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:完璧主義は目的を見失う。心理的柔軟性を身に着けるための2つのヒント http://karapaia.com/archives/52288281.html
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